SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

両親の借金を肩代わりしてもらう条件は日本一可愛い女子高生と一緒に暮らすことでした。

[著者:雨音恵/イラスト:Kakao/富士見ファンタジア文庫]

押し掛けて来た好意
 最初からメインヒロインの好感度が100%なので、確かに糖度の高い激甘いちゃいちゃは見させて貰える。ただ、勇也の弱味に付け込んでの『一方的な強引さ』も感じてしまったので、ちょっと素直に浸れない部分はあったかなあって印象でした。

 状況的に、勇也は楓が出した条件を絶対に飲まざるを得なかった。彼の意見や意思が、完全に排除される形になってしまうんですね。つまり、勇也が抱く楓に対する感情って「本当の所は何なのか?」、なんて疑問も浮かんで来るわけなんですよね。

 もっとも、勇也は自身の置かれた立場を理解した上で、楓に好意的感情を示している。なので、心から好きだと言う気持ちに間違いは無いのかなと。

現代社会で乙女ゲームの悪役令嬢をするのはちょっと大変1

[著者:二日市とふろう/イラスト:景/オーバーラップノベルス]★

日本経済主体のお話をガッツリと
 1995年頃から2000年前半を舞台背景に、主に日本経済を題材にした物語。その当時の日本経済、政治、金融、企業の合併・売買、株式、投資、主にロシアや東南アジア圏との外交など。この辺りの要素に深く踏み込んだ内容で、ぎっしりと詰め込まれていました。

 より具体的には。転生した8歳の貴族少女・桂華院瑠奈が、衰退の一途を辿る日本経済の未来を、自らの力で変えて行こうとする、と言うもの。前世で経験した苦い現実を教訓とし、待ち受ける自身の『破滅』を迎え撃つべく、備えているわけですね。

 おそらく冒頭のシーンが結末に至った状態。果たしてその通りになるのか、それとも瑠奈の行動で変化を見せるのか。じっくり追って行きたいですね。

ループ7回目の悪役令嬢は、元敵国で自由気ままな花嫁生活を満喫する1

[著者:雨川透子/イラスト:八美☆わん/オーバーラップノベルスf]★

過去の経験を総動員して、7回目の人生に全てを賭ける意気込みで
 これまで同じタイミングでの『死』と『転生』を繰り返し、6度の人生を送って来た、公爵令嬢リーシェ。この7回目の人生で、今までの経験を全て活かし切って、「何が何でも」と覚悟を抱き、『延命』と自堕落生活を手にする為に生き抜こうとする。

 6度の人生経験を最大限に活かしたリーシェの立ち回り、鮮やかな手並でお見事と言うしかない。既にアルノルトの影響力に匹敵する、言わば『リーシェ派勢力』みたいなのを整えつつあるような印象。

 惹かれ合っているのは確実だけど、一方で『進む未来が相容れない』かも知れない不安も大いにある。この辺りの流れは、リーシェが自身の『ループの呪縛』を破れるかどうかに掛かって来るのかな?

ヘルモード ~やり込み好きのゲーマーは廃設定の異世界で無双する~1

[著者:ハム男/イラスト:藻/アース・スターノベル]

やり込み系の究極難易度
 この物語の最高難易度『ヘルモード』とは。何が高難度かと言うと、主人公自身の『成長率』みたいな所。ここに非常に厳しい条件が課せられている。

 例えば、通常ノーマルモードで1レベル上げる為に経験値が1必要なら、ヘルモードはその100倍=経験値100が必要になる。つまり、強くなるまでの『時間』と『労力』が膨大に掛かってしまう。

 いや、これはなかなか面白い発想ですよね。「その部分で難易度を上げて来るのか~」って感じで。コツコツ積み上げで、実験と検証を重ねて情報を蓄積して行かなければならない。更に効率的な立ち回りも求められる。敵が高難度でそれを圧倒して無双するのとは、また一味違った面白さがありました。

シュレディンガーの猫探し2

[著者:小林一星/イラスト:左/ガガガ文庫]

誰の為に『謎を解かない』のか
 今回は一冊かけての長編エピソード。八年前の学園祭で、令和の姉・飛鳥が起こした(と思われている)事件について。彼女の不名誉な濡れ衣が、今年の学園祭で掘り起こされようとしている。それを阻止すべく、令和は焔螺と『迷宮落とし』に臨む。

 大分後の方まで『真犯人は誰か?』で引っ張られるので、その辺りで興味をグイッと引き付けてくれる。『謎を解かない』が前提で、如何に謎を解こうとする相手=『探偵役』を出し抜くか。心理的な駆け引きや攻防なども、なかなか見応えありでした。

 実は今回の真の謎解きは、令和の妹・弥生の『やよいトリップ』現象に向けられている。この真相は結構意外でしたが、成る程と納得させられましたね。

既刊感想: