SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…6

[著者:山口悟/イラスト:ひだかなみ/一迅社文庫アイリス]

 新展開の『魔法省編』スタート。元の世界の乙女ゲームの“続編”に沿った展開……らしいのだけど。カタリナが拾った続編の内容情報の出所が、ちょっと気になるなあって感じでした。

 ソフィアの前世が、カタリナの前世と親友同士だった事は既に明かされています。今の世界でソフィアに前世の記憶は無いんですが、ソフィアが所持してる小説の中に、続編情報の紙切れが挟まっていたとか。絶対何かしら関連がありますよねえ。

 まあ、そこを詮索してもあまり詳細は得られなさそうでしたけど。本当に乙女ゲームの続編が実在していて、そこでカタリナが悪役で再登場で破滅してるのか、今の所確かめる術はなさそうですよね。

 結局、カタリナが身の破滅の危機を妙に信じちゃったもんだから、学園時代と同様に奇行に走って周囲を困惑させちゃってます。その突飛な言動で、他人の好意を呼び起こしてしまうから面白いですよね。

 魔法省に入った事で、これまでの学友との付き合いがちょっと減ってしまったのは、仕方ないけど寂しい所。ただ、学生時代より会う時間が減ったからこそ、ジオルドやキースがよりカタリナに積極的に迫っているのは良い傾向かなあと思いました。

 あとは、魔法省の先輩職員たち。変人揃いで面白過ぎですね。これからカタリナとどんな付き合いをするのか、そして新たな攻略候補との関係はどうなって行くのか。続きが楽しみですね。

既刊感想:

乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…5

[著者:山口悟/イラスト:ひだかなみ/一迅社文庫アイリス]

 今回は、カタリナ以外の登場人物たちについて、これまでより詳しく掘り下げ描いて行く短編集。

 カタリナを取りまく主要キャラ達は勿論、カタリナに触れて人生激変した脇役達や、本編ではあまりお目にかかれない、カタリナの両親やクラエス家で働くの人々の事なども色々と描かれていました。

 主に魔法学園入学以前にさかのぼるエピソードが多かったですね。かつて、カタリナの人柄=『無自覚人たらし』がどれだけの人に影響を与えて来たか? その事実を改めて思い知る事になりました。

 とにかく読んでいて明るく楽しい雰囲気に浸れたのと、あとは「カタリナって愛されてるなあ」って強く感じた所でしょうかね。とりわけ今回は、カタリナ以外の視点での語りが多かったので、それぞれに違った愛情が普段より一層伝わって来ました。

 個人的には、クラエス家の人達のエピソードが印象に残りました。庭師のじいちゃん、メイド頭、母・ミリディアナ、など。多分本編ではなかなか見られない所で、カタリナに良い影響を受けている辺りで「大切に想われているな」と、ほっこりさせてもらえました。

既刊感想:

乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…4

[著者:山口悟/イラスト:ひだかなみ/一迅社文庫アイリス]

 ゲームで例えるなら『義弟キース攻略ルート』。誘拐されたキースを、カタリナ一行が捜索するエピソードでした。離れ離れで互いに思いは募る。が、カタリナとキースのその想いには、違う性質が含まれていて、ズレが生じているのがちと切ない。

 もっとも、今回の誘拐騒動を経て、キースのカタリナへの想いが一層高まった模様。極限状態で意識がもうろうとした状態ながら、これまでとは違う“積極性”をカタリナに見せてくれたキース君。読みながら「よくやった!」と拍手を送ってました。

 いや~、鈍感なカタリナに気付きを与えてくれる大胆な行為って、実に良いですなあ。ジオルドも負けじと積極的なってるし、その分ニヤニヤシーンも増えてくれるし。普段突飛な行動で散々翻弄されている分、恋愛に関しては逆に初心者なカタリナを翻弄して欲しいですよね。

 あと気になった点は、『闇の魔力』について。予想外に影響が拡散してるなあって感じました。ジェフリー王子やラーナが警戒している分には安心出来そうですが。ただ、カタリナが『闇の魔力を宿すペット』を飼っちゃったんですよねえ。

 カタリナが闇の魔力の源を撃退したのも、その影響で生まれたペットに懐かれたのも、彼女自身に“何か”があるのかどうか。結局あんまり詳しくは触れられませんでしたが、その辺りも気になりますね。

既刊感想:

乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…3

[著者:山口悟/イラスト:ひだかなみ/一迅社文庫アイリス]

 誘拐犯も無自覚にたらし込む! またしても、カタリナの天性の人たらしの凄さを見せ付けられました。自然な流れで、『自分の懐に引き摺り込んで行く』って言うんでしょうか。凄過ぎましたね。

 ふと、これまでのカタリナの『人多たらし歴』を思い返してみました。それで分かったのは、精神的な苦痛を抱えていて、潜在的に誰かに助けを強く求めている、そんな人を救済しまくっていると言う事。

 今回のルーフィスもそうでした。多分カタリナは、救われたい誰かの心の叫びを(無意識)の察知して、人の本質を見抜く力に長けているんじゃないかなと思います。最初から性根が腐り切った相手には、人をたらす態度は取らないんじゃないかなと。

 あと気になったのは、ジオルドとアランが絡んだ王位継承騒動の件。見ている限りでは、兄弟関係は良好みたいなので、ちょっと安心したかな。今後物語に大きく絡むかは分かりませんが、正々堂々と『資質』で競い合う関係であって欲しいですね。 

既刊感想:

乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…2

[著者:山口悟/イラスト:ひだかなみ/一迅社文庫アイリス]

 「無自覚で鈍感な“人たらし”って、なんて罪な事だろう……」って、カタリナの様子を見ていて、改めてしみじみと思い知らされました。

 ここまで全方位からビシバシ好意感情ぶつけられているのに、一切気付いてないんだもんなあ。乙女ゲーム内のカタリナの『悪役令嬢』の悪役ぶりって、どんだけ酷かったんだよ……と思わされました。

 この固定観念が抜けない限り、近しい人達の気持ちに気付けなければ、彼女自身が恋愛感情すら抱けないかも知れない、という危機感。

 今は破滅を回避するのに頭が一杯ですが、『自分は極悪令嬢』と言う諦めにも似た強固な思い込みは、変わって行って欲しいですよね。

 今回のラストが、“もしゲームだったら”ここでエンディングです。良くも悪くもなく一番無難で一番達成感に乏しい結末。まあ、みんなと友情で結ばれたと捉えれば、決して悪くはないんですけど。

 てなわけで、破滅を無事? 回避したカタリナの無自覚鈍感人たらし人生は続きます。しかし、主要キャラ全員にフラグおっ立てちゃった状態で、この先どんな展開になるんでしょうね。

既刊感想: