SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

宅録ぼっちのおれが、あの天才美少女のゴーストライターになるなんて。

[著者:石田灯葉/イラスト:葛坊煽/角川スニーカー文庫]

 高校生たちの、音楽制作とバンド活動の物語。音楽制作そのものよりも、音楽を通じての人間関係とかそれぞれに抱える事情の交わりとか、そう言ったものがより前面に出ていたかなあと思いました。

 個人的には音楽制作の行方が気になっていましたが、展開としてはバンド活動の方に比重が置かれていたかなあと。この辺は好みの問題ですが……拓人の作曲、由莉の作詞、そして歌唱の天音、彼らの創作部分の方ももっと見てみたかったかな? と言うのが正直な所でした。

 ただ、創作に悩み恋に悩み、みたいな「青春してんなあ」って雰囲気は存分に感じられたので良かったです。まだそこまで踏み込んではいないですけどね。天音が自身の好意感情を更に自覚して、拓人がより意識するようになって、沙子がクールにやきもきするような展開が盛り上がれば、また面白味も増して来るのかなと。

高嶺の花の今カノは、絶対元カノに負けたくないようです2

[著者:とーわ/イラスト:Rosuuri/角川スニーカー文庫]

 物語は『主人公』『今カノ』『元カノ』の三角関係展開なんですが……びっくりするほど“ギスギス”しなければ、ほとんど重苦しい雰囲気にもならない。薙人の優柔不断さも今の所はあまり見られないし、希と霧のヒロイン対立も全然感じられないし。一言で表すなら「実に健全だなあ」ってとこです。

 何にせよ、登場人物達の精神的苦痛からくる、“胃の痛み”を抱かずに済んでいるいのは良い事です。ただ、このままハッキリしないでいるわけには行かないでしょうけどね。主に元カノとして薙人に未練のある、霧の選択が一番重要な所だと思います。

 薙人と希は付き合い始めだけど順調だし雰囲気も良いので、あまり問題は見られない。一方で霧は、薙人への想いを残しながらも、それを知る希に対しても好意的で。希の方も霧をライバル視しながらも好きな気持ちが大きい。二人のヒロインの関係も実は良好なんですよね。

 今のまま変わらない三人の関係と雰囲気が凄く好きです。それでも、いずれどこかで変わってしまうような気もします。少なくとも、霧に関しては気持ちをハッキリさせなければならない。彼女の動向次第で、三人の想い行方が変化して行くのかも知れませんね。

既刊感想:

『おっぱい揉みたい』って叫んだら、妹の友達と付き合うことになりました。3

[著者:凪木エコ/イラスト:白クマシェイク/角川スニーカー文庫]

 人目を気にせずいちゃいちゃしてたら、強制的に実妹から独占禁止を言い渡されてしまいました、的な展開で夏彦大ショック。まあ、他人の目線を気にせず未仔といちゃいちゃしまくってた報いですね。

 とは言っても、別に「ざまぁ」って思うわけでもないんですけどね。個人的には、夏彦と未仔のいちゃいちゃを眺めてるのが好きなので。ただ、未仔と少し離れて、琥珀や草次とか、愉快な仲間たちと絡んでるのもたまには良いのかなあ、とも思いました。

 結局は、離れた分だけ会えなくて寂しかった反動で、余計に結び付きが強くなってましたけどね。まあいつもの通りです。むしろいつも以上でした。

 途中で妹の新那と夏彦との『未仔争奪戦』、みたいな流れにもなってましたけど。それも、最後には兄妹の“ちょっといい話”でまとまってほっこり。終始賑やかで和やかな空気は変わりませんでしたね。

既刊感想:

他人を寄せつけない無愛想な女子に説教したら、めちゃくちゃ懐かれた2

[著者:向原三吉/イラスト:いちかわはる/角川スニーカー文庫]

 懐いてるんだか懐いてないんだか。梨沙の動作からはなかなか感情が読み難くて、まさに『気まぐれな猫』そのまんまな印象。この辺は相変わらずなんですけど。ただ、無愛想な中でも直哉に対しては、やっぱり特別視している所も垣間見えたりする。

 確実なのは、好意感情でも恋愛感情とはまた別種だと言う事。二人の関係性って、何て言ったらいいんでしょうかね。“似た者同士”で、親友に近い所で分かり合えている、と言うのがしっくり来るのかなあ。一言では言い表せない不思議な関係です。

 今回は、梨沙の性格の“歪み”を作り上げてしまった事情が、何となく直哉にも分かって来る展開でした。まあ、他人が介入し辛い領域です。近くで寄り添って梨沙の本心を理解する事で、支えて行ければ良いのですが。どんな展開になるのでしょうね。

既刊感想:

あなたを諦めきれない元許嫁じゃダメですか?4

[著者:桜目禅斗/イラスト:かるたも/角川スニーカー文庫]

 麗奈とは気まずくなり、翼と育美は真っ向対立で絶対に譲らない姿勢。そして七渡は、誰も選べなくて悶々としながら追い詰められて、精神がすり減って行くばかり。これで一体どうやって収拾をつけるんだろう? と言った状態からの最終巻。

 元々は5巻完結予定だったのが、何かの事情で4巻完結に縮小されたとの事。その結果、それぞれの『答えの出し方』が大分駆け足に感じられたのは、多分気のせいではないと思います。まとめる為の短縮の影響は、明らかに出ていたように見えました。

 決してあっさりとではないですが、意外に後味悪く揉めずにハッキリとした答えが出ました。これまでの過程を考えると、正直報われなかった誰かがもっと未練がましくごねるかと思ってたんですけど。

 まあこれ以上七渡の煮え切らない態度も、女子達の板挟み状態で苦しむのも見てらんなかったですから。多少物足りなく感じながらも、結果的には「良かったな」と、ホッと胸をなで下ろしました。

既刊感想: