SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

転校先の清楚可憐な美少女が、昔男子と思って一緒に遊んだ幼馴染だった件3

[著者:雲雀湯/イラスト:シソ/角川スニーカー文庫]

 外見的には、もう既に春希に男の子っぽい雰囲気など一切なく、隼人とはしっかり思春期男女関係でいちゃいちゃ出来てるっぽいし、もう恋人同士としてくっ付くのも時間の問題なのでは? と、割と楽観的に眺めていられた気がします。

 春希にとっての恋敵的存在もちらほら出ていたようでしたが、そもそも隼人が春希以外の女子には惹かれないでしょう。断言してもいいくらい、隼人は春希一筋だと思いますよ。唯一気になるとすれば、田舎で交流がある沙紀との関係でしょうかね。

 今回のラストで再会して『次巻へ続く』だったので、次はおそらく沙紀の隼人への恋心が絡んだ展開になるのかなあと。春希は沙紀の好意をチャット越しで察しているようでしたが、隼人・春希・沙紀のそれぞれの感情の揺れ動きがどうなるのかも気になる所です。

既刊感想:

継母の連れ子が元カノだった9 プロポーズじゃ物足りない

[著者:紙城境介/イラスト:たかやKi/角川スニーカー文庫]★

 終盤の水斗と結女のやり取りの描写は『圧巻』の一言。色々見所はありましたが、今回はこの二人のシーンに尽きるんじゃないかなあ。我を忘れて「どうなるんだ……」と、“ゴクリ”と喉を鳴らしながら食い入るように魅入ってしまいました。

 正直、ここまで急転直下的に一気に『二人の覚悟』が決まるとは思ってもみませんでした。今回の最初の頃は、水斗がいさなの才能に入れ込み過ぎで、いさなの意思に関係なく水斗の願望を押し付けているような印象だったので、それが影響しての破綻までも意識してしまってたんですけどね。その辺りの印象も、終盤の展開の衝撃に飲み込まれたような感じです。

 互いに気持ちの方向性が定まり、足並みが揃ったと言う意味では『良かった』と思うべきなのでしょうか。ただ、『きょうだい』『家族』がどこまで行っても絡んで来るのは避けられない事実で、これからどんな風に描いて行くのかなあと、興味と期待と不安とが入り混じるような思いでした。

既刊感想:

継母の連れ子が元カノだった8 そろそろ本気を出してみろ

[著者:紙城境介/イラスト:たかやKi/角川スニーカー文庫]

 今回は、生徒会役委員達の親睦を深める旅行をきっかけにして、複数の恋愛関係が時に複雑に時に面倒臭く展開して行く内容。鈴理、愛沙、蘭、丈児、星辺先輩など、生徒会役員関係者達のキャラクターを掘り下げる回でもあったのかなあ、と言う手応えでした。

 水斗と結女の関係は一旦横に置かれる形で、主に結女の方が他の女子の恋心による行動に触発されて、水斗への接触に色々悶え悩まされている様子が印象的でした。

 脇役達の恋愛話は、真剣であり深刻でありながらも、あまり辛く息苦しい雰囲気はなく、何となく『尊いものに見入ってしまう』ような感覚だったかも知れません。旅行が済んで、恋愛に関して大体は「良かったなあ」で収まった感じです。

 ただ、ひとつ気になったのは、いさなの存在が水斗に中でどんどん大きくなっている点。恋愛感情とはハッキリ異なるものながら、結女の心に少なからず波風を立てるものにはなりそうです。

既刊感想:

継母の連れ子が元カノだった7 もう少しだけこのままで

[著者:紙城境介/イラスト:たかやKi/角川スニーカー文庫]

BOOK☆WALKER

 ようやく、本当に、今度こそ! 水斗と結女の間に合った過去の後悔と未練の“わだかまりの壁”が取っ払われ、長らくもやもやした雰囲気も随分消え去ってくれて、結女が生徒会活動を始めた事に合わせた新キャラ投入で、まさに心機一転の新展開って感じでした。

 『きょうだい関係』と『恋愛感情』と『互いに好きな気持ち』の混ざり合いは、いずれ水斗と結女に難しい選択を強いる要因になるのかも知れません。でも、未練たらたらで過去の関係を引きずっていた時よりは、心の整理が付いたのかなあと言った印象でした。

 二人とも、相手の事が『好きだ』と自分に言い聞かせるように自覚しているので、今度は決して切れない世間的な『きょうだい関係』と、どう折り合いを付けて行くのかが大きな問題になって行きそう。個人的には、あまり重くて二人が精神的に苦しむような展開にはなって欲しくない思いはありますが……じっくりと行方を見守ってみたいです。

既刊感想:

継母の連れ子が元カノだった6 あのとき言えなかった六つのこと

[著者:紙城境介/イラスト:たかやKi/角川スニーカー文庫]

BOOK☆WALKER

 過去の『恋人関係』を切り捨てたはずなのに未練がましく引きずり続け、現在の『きょうだい関係』を受け入れたはずなのにもやもやした“違和感”を抱き続けている。今回は主に水斗の側の『面倒臭いターン』だったような印象でした。

 傍から見ても、「で、結局どうしたいんだ?」の問い掛けが明確に浮かび上がる様子だったので、当の水斗自身はなおさら自問自答の繰り返しだったでしょうね。

 何か盛り上がりそうなイベントが起こる度に、水斗も結女もなかなか難儀な心理状況に陥ってる気もするんですが、それでも悩んで葛藤して少しずつ好転している手応えを感じる内容でした。

 特に文化祭後夜祭の二人の会話の様子や雰囲気に触れて、ようやくもやもやの長いトンネルを抜けて、現状を受け入れ互いに深い部分を理解し合えたような、そう言った印象を受けました。今度こそ、過去を抱え現在を受け入れ、停滞した今より前向きに踏み出せる事を願いたいです。

既刊感想: