SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

灰色の叛逆者は黒猫と踊る1 闘士と魔女

[著者:虹音ゆいが/イラスト:kodamazon/HJ文庫]

 『灰色』は動物(魔物?)の声が理解出来る、潜在的な破壊戦闘能力を持っていて条件を満たし覚醒する事で発揮出来る。『魔女』はかつての人類にとっての災厄、今では既に過去のものと認識され忘れ去られている。

 以上が最重要な設定、かな。レーヴェとミィカの能力を理解するにはひとまずこの辺を押さえておけば充分か。

 もっとも、『灰色』『魔女』の根源、育成施設『C』やその上層がこれらをどう扱おうとしているのか、そして敵対者かあるいは魔女にとっての味方?かの暗躍する存在、などなど明確に見えていない点はまだまだ多い。

 今の所はミィカはレーヴェに同族意識として懐いている風で、この二人の交流関係がどう進展して行くかも興味津々な所です。

無防備かわいいパジャマ姿の美少女と部屋で二人きり1

[著者:叶田キズ/イラスト:ただのゆきこ/HJ文庫]

 パジャマな彼女と自宅のお部屋でいちゃいちゃ自堕落デート。表向きはそれを存分に堪能する内容ではあったのだけど、裏で学道とこいろの双方に複雑な事情を抱えているのが見え隠れしている所に興味を引かれて行く感じ。

 二人の良き理解者として、出逢わせて交流を深める事が互いの利になると察して学道をこいろに仕向けた、さとくまちゃんこと熊田先生は陰の功労者でしたね。

 二人が互いの事情を理解して、一層仲を深める所までが今回の進展具合。これまで主に『二人だけの空間』だった所から外に広がるのか、それとも外部の接触は控えてこのままで行くのか。

 学道もこいろも根本的には悩みが解決してるとはまだ言えないので、仮に外に広がった場合どう影響が出るかは気になる所かな。

ビブリア古書堂の事件手帖2 ~栞子さんと謎めく日常~

[著者:三上延/イラスト:越島はぐ/メディアワークス文庫]

 実在する書籍や作家と、それにまつわる所有者あるいは探索者と、買い手の古書店と店主と店員を巻き込む『謎』に関わって行くお話。複雑で意外な事情を見せながら真相に至るまでの展開は、今回もどれも見どころ満載で面白い。

 ただ個人的には書名作家名を検索して知ろうとする所までは行くんだけど、じゃあ本当に探して読んでみようかとなると、ピンと来なければそこまでには至らない。なので登場する実在書籍作家にどれだけ関心を持てるかと言うのは、実は読み手次第といった所なのかも。

本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第四部 貴族院の自称図書委員I

[著者:香月美夜/イラスト:椎名優/TOブックス]

 2年経ってローゼマインが目覚めた直後からスタートの貴族院編。『浦島太郎状態』って言っても異世界人には当然通じず、しかし情報不足で置いてけぼり食らってる感のあったローゼマインも、図書館と読書が絡んだ瞬間からそんなハンデをものともせず、な様子でしたかねえ。

 猪突猛進ぶりに強制的に付き合わされるエーレンフェスト領同学年の皆が気の毒ではありましたけど、結果的には学力や実技技能の向上に繋がってくれたので良かったのかな? 

 まあ既に入学早々からのローゼマインの目立ちっぷりが少々気になる所で、王子や他領の良くない感情を沸き立たせるには充分な刺激っぽくて、やはりその辺に絡みそうな騒動は免れないのかも。

 とりあえず、念願の図書館通いが解禁されたローゼマインのはしゃぎっぷりを無事?に見られたのは良かったなとホッと一息。

Another 2001(下)

[著者:綾辻行人/KADOKAWA]

 『災厄がレベルアップした』、と。まあ適切な表現かは分からないですが、想たち三年三組が“これまで経験した事のない状況”に追い込まれるのを目の当たりにして、そんな風に感じたりしました。

 途中「え、これで終わり?」な雰囲気になったんですがもちろんそんなわけもなく、「じゃあ一体これは何なんだ?」と読み手を追い込みつつ先を知りたい欲求を刺激しまくる展開は前作同様で、やはり一気に引き込まれてしまう面白さでした。

 途中のヒントっぽい問い掛けの放出で、何となくの気付きを得られてはいましたが、『それは誰か?』の真相に至るまでは物語の想と同様に翻弄されっ放しでした。

 しかし災厄の『現象』に関しては、現状これまで通りに『そう言うものだ』と受け入れるしかないのが歯がゆい所で。構想があるらしい続編『Another 2009』にて、その辺りも災厄をを断ち切る意味で完全完璧な解決を期待したいですが、さて(次の主役は、おそらく本作で鳴に似た特殊能力を発動させていた“あの子”でしょう)。