SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

リバース・ブラッド1

[著者:一柳凪/イラスト:ヤス/ガガガ文庫]★

 失われた記憶の代償に得た特殊能力で、その失われた記憶を埋めてゆこうとする。“どうやって特殊能力を得たか?”の部分が割と複雑に入り組んでいて、この入り組み方に前作『みすてぃっく・あい』と通ずる所があるかな、とも思った(こちらの方が格段に理解し易かったのでホッと胸を撫で下ろしたりも)。

 こういうの、この作者さんならではの持ち味って言えるのかも知れない。次もこの要素が欲しい! と思わせてくれる期待感がある。持ち味の積み重ねが確実に実感出来る事、読み手側としては嬉しいもので。

 シリーズの一巻目なので、まだ大きな動きは見せておらず。主に特殊能力関係で「大体こんな設定なんですよ〜」と把握し易く描いてくれている辺りが在り難い。これで巽が扱える能力、呉羽が扱える能力、それがどうやって二人の中に発現したか、それを用いてこの先何をすべきか、など要点は充分に掴めた。しっかり掴めた所でさあ次の段階へ。

 と。そういや特殊能力持ち同士でバトルになった場合、巽の能力ってあんまり使えなくないか?(触れた相手の深層心理が“見えるだけ”なので) と作中で巽自身も思ってた事だけど……こんな裏技があったとは! すげぇ〜巧い見せ方だな〜。あまりに不意打ちだったもんでちと心躍ってしまった。きっと波長が合う呉羽とだから、なのだろうね。