SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

たま◇なま 生物は、何故死なない?

[著者:冬樹忍/イラスト:魚/HJ文庫]

 第1回ノベルジャパン大賞『大賞』受賞作。

 話したい事があって、主張したい事が一杯あって、伝えたい事が沢山あって、それらを知って欲しいとか分かって欲しいとか理解して欲しいとかって気持ちが物凄く込められていて。でも、そういう気持ちは感じ取れるんだけど、ちゃんと自分の中に受け入れるまでがなかなか容易でなく、だからもどかしく思う。要約すると「惜しい」で「勿体無い」。

 ちなみに、私がこの物語のテーマというのか“描きたい事”というのか、曖昧ながら掴めたのはようやく全体の三分の一を過ぎた頃。多分由宇が自分の本質や目的の詳細を透に語り始めた辺り。「……そんな重要な事はもっと早く話しておいてよ〜」って言いたくなった。そのせいで作品全体のテンポはいいのに、肝心な部分がさっぱり理解出来てないからだらだら〜っと間延びした印象だったり、と妙な気分を味わってしまった。

 でも、あとがき読んだら速攻理解……なんてこった!「後からあとがき読む派」な為にこんな所で割を食うとは。由宇の主張=探求し理解したいと思っていた事ってのは、あとがきに語られている中に殆ど集約されていたのでは?

 この主張が本編では圧倒的に物足りず。本編でこそより深く掘り下げ押し広げて欲しかった。む〜ん、現在シリーズ3巻まで刊行されているけれど、上昇気流を求めて追ってみようかどうしようか……。