SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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警極魔道課チルビィ先生の死神のロジック

[著者:横山忠/イラスト:成瀬ちさと/スーパーダッシュ文庫]★

 シリーズ第2巻。災い(チルビィの迷子癖)転じて幸運(敵の二点同時攻撃阻止)拾う、ってとこか。年相応の『おこちゃま脳』と、道士としての力を振るう戦闘時の『死神の子供(デス・チャイルド)脳』の凄まじきギャップは今回も健在。そこに致命的かつ迷惑極まりない迷子癖が合わさり、周囲の連中も読んでいるこっちも終始振り回されっ放しで大変大変。でも、その振り回され具合に慣れてくると案外楽しく感じられたりも。

 今回は前巻私が躓いた“設定説明盛り込み過多”が見事に解消。欲しい時に適度な説明が挿入されていて実に読み易くなっていた(この辺は2巻目だから把握するのが容易だった、というのもあるんだろうけどね)。一番の旨味で期待していたバトル描写も充分な手応え、加えて各キャラクターの肉付けもしっかり為されていたのでなかなかの満足感。

 ただ、今回の敵・アラウディアに関してだけちょっとした不満が。いや、結局の所何がしたかったんだろう? って疑問がね。この展開に沿って言うなら“生き長らえる為”だと思うんだけど、肝心の『本体』の意志が最後の最後まで隠れてたもんだから、存在感はあれども存在意義を見出せなくて……。もしかして、逆に誰かに自分を葬って欲しくてこんな行動を取っていたのかなぁ、とか。考えてみても結局憶測の域は出なかった……。

既刊感想:警極魔道課チルビィ先生の迷子なひび