SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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SHI−NO ―シノ― 支倉志乃の敗北

[著者:上月雨音/イラスト:東条さかな/富士見ミステリー文庫]★

 シリーズ第6巻。意味深なタイトル。まさかトランプの『ダウト』で嘘を見破られた事を指して『敗北』と言ってるんじゃないよな……と思って読み進めてたけど、さすがにそれはなかった。これって支倉志乃が“自発的に”敗北の道を選んだって意味なのかなぁ?

 そもそも今回の事件の顛末を『敗北』と括っていいのだろうか、と考えて「う〜ん……」と首捻ってしまったりも(あんまし敗北って言葉に捉われ過ぎない方がいいのかねぇ)。どちらかと言えば志乃より失敗を悔やんでいる『僕』の方に敗北を背負わされていたような感じ。

 志乃の感情の変化は『僕』視点からだけど確かにこれまでより強調されていた。早い段階で志乃の思考が真相に辿り着いていたにもかかわらず、あえて“『僕』の為”に敗北を選択した事から考えてもそれは明らか。

 ……しかしその事を喜ぶべきかどうか。真白の言葉が不吉な影を落とす。志乃の『僕』に対する感情が隠し切れない程大きくなれば間違いなく破壊を呼び破滅に導く、と。普通なら志乃の感情変化でニヤニヤさせられるとこなんだがなぁ。意味深な発言でそうも行かなかった。

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