SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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オイレンシュピーゲル弐 FRAGILE!!/壊れもの注意!!

[著者:冲方丁/イラスト:白亜右月/角川スニーカー文庫]★★

 両方読んで思い知る。この巧みに計算し尽くされた業の数々。片方だけでは全てを語らず、もう片方に触れて初めて事件の全容が掴める仕組み。分からない事だらけにならないようバランスも考慮されていたし、片方で不明瞭だった事がもう片方でちゃんと解明されている。これ、よく考えてみると整合を取るのがかなり面倒臭かったんじゃないだろか、と。そういうのを破綻もなくやってのけている辺りはホント凄いなぁと思わされた。

 さて、対の『オイレン』。向こうが主に七つのテログループの謎を追っていたのに対し、こちらは主に『荷物』のリレーの行方を追い続ける展開。後手に回ってた感じはあまりしなかったんだけど、行動が制約・制限されてしまう状況が結構あって、こっちも何だかんだで妙にむずむずな感触だったわ〜。結局終盤のフルボッコは鬱憤晴らしって意図があったんかなぁ?

 でも、あの邂逅は双方に触れて改めて「ああ〜いいわ〜」って溜息が漏れた。物語の“リンク”の醍醐味を充分に味わえて非常に満足。次はどんな形で交錯するのか今から楽しみ。

既刊感想:
オイレン
スプライトIII