SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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阪急電車

[著者:有川浩/イラスト:徒花スクモ/幻冬舎]★★★

 これは悔しい! 実に悔しい。だってこの物語読んで「すげー今津線に乗りたい!」ってどれだけ思っても、東京住まいの私にゃ簡単には乗れないもの。

 ああ、今津線に乗ってこの物語の行く道を追体験出来る人達が羨ましい。いや、読了後ホントに羨ましくなるから。それで簡単に乗れない自分が悔しくなるから。前もって今津線乗車を実体験していたり、或いは後で容易く体験出来る環境にあれば、もうそれだけで楽しさや面白さが倍加するんじゃないかなぁと。

 電車の中で。人と人との偶然の出逢いと別れがあり、偶然に偶然が重なって幾人かの想いを揺り動かし、共鳴するように惹き合い、そのまま共に寄り添う想いもあれば、また離れてゆく想いもある。次々と重なり影響し合う登場人物達の“想い”の描写が本当に素晴らしい。現実の電車の中では、こう物語みたく上手い事“偶然の巡り合わせ”なんて風には行かないんだろうけど、もしあったとしたら素敵な事だろうなぁ。