SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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ロミオの災難

[著者:来楽零/イラスト:さくや朔日/電撃文庫]★

 ロミオとジュリエットかー。題目自体はめちゃくちゃ有名だけど、そういや物語の詳細までは触れた事がなかったな(精々が悲恋で終わるらしい、という事しか……)。演劇『ロミオとジュリエット』を演じながら、悲恋&悲劇で終わった“過去の亡霊”=嫉妬と欲望に塗り潰された歪んだ恋心と対決! な物語。

 たとえ乗っ取られ操られた恋愛感情だとしても、自分に向けられる好意ってやつが、意中の相手から発せられたものだとしたら? そりゃ偽物の恋心でもぐらっときちゃうだろうなぁ。そんな本能を暴走させずにぐらつく理性で何とか押さえ込んでいる辺り、如月行哉というヤツは結構デキる男なのかも知れない。

 過去の登場人物像や恋愛関係にもっと厚みがあって、現在の5人の恋愛感情により深く影響を及ぼしてくれたら、更に好きになれていたかも(この展開ならもっとドロドロな方が好みなもんで)。あと私は新堂贔屓だったせいか、最後はちょっとホロ苦だったなぁ。