SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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されど罪人は竜と踊る2 Ash to Wish

[著者:浅井ラボ/イラスト:宮城/ガガガ文庫]★★

 やっぱりモルディーン劇場? いや、彼は今回の一連の事件に対し直接的な関与はしてないんだけれど、レメディウスがこうなる事を、こういう道を辿るであろう事を、幼き彼と盤上で相対した時に既に予知していたのではないか? レメディウスに「いずれ十二翼将に迎え入れたい」と提案しながら、手の内に引き込む動きを見せなかったのは、モルディーンが望む方へは決して進まないだろう、と見越していたから?

 最悪の罠が潜む盤上のゲーム。真の意味での勝者と言うのは、完全に盤上を支配していたレメディウスではなく、ルールに逆らう事で盤上を引っ繰り返してみせたガユス&ギギナでもなく……盤上で踊る彼らを掌の上で悠々と眺めていた人物、なのだろうなぁ。

 灰になり、束縛から解き放たれ、風に乗って、自由になり、ふたりがひとつになれた事。これだけが、凄惨な結末の果てに手に入れる事の出来た唯一の救い。

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