SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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アニスと不機嫌な魔法使い

[著者:花房牧生/イラスト:植田亮/HJ文庫]★

 第1回ノベルジャパン大賞『奨励賞』受賞作。

 アニスのその“何時でも何処でも即座に妄想発動させる事が出来る”という性癖は、類稀ない才能だと思うぞ。日常的な部分で何かと役立ちそうなものじゃないか? ……主に現実逃避したい時とか、直視し難い事実から逃げるように目を背けたい時とか色々。

 まあそれより何よりアニスがヘンテコな妄想に耽ってくれると、読んでいるこっちも面白可笑しく楽しめるという訳で。しかしながら、読書前のイメージだとそういう『アニスと妄想とツンデレシドと愉快な仲間たち』風なコミカルさが強調されるかと思ってたんだけど、中盤以降は割と負の感情に引っ張られる方が多かったかなと。シドとの衝突で怒って落ち込んで、閉ざされた過去の記憶から心が恐怖に駆られて悲鳴を上げて、と。一応アニスの魔力関連は一段落したので、今度は娘と養父のぎくしゃく日常コミュニケーションな部分を、コミカルさ増しで描いて欲しいなぁ。