SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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晴れた空にくじら 浮船乗りと少女

[著者:大西科学/イラスト:refeia/GA文庫]★

 こいつぁ飛行船マニア垂涎の一品だぜ!(読んでる中でどんだけ飛行船マニアが居るんだよ? という疑問はさておき)。ボーイ・ミーツ・ガールストーリーなのは確かなんだけど、その要素は主役の引き立て役に徹する脇役の如く。この物語で真の主役と言えば、雪平でもなければクニでもなく無論槍次なんぞでもなく、彼らが乗る浮船《峰越》の事なのだと思う。

 そう言い切ってしまって良いくらい、『浮船』に関する描写密度が非常に濃い。思考を巡らせ判断を下し行動を起こすのは、搭乗者である雪平やクニや槍次なんだけど、明らかに《峰越》を描く方に力が入っている。こういう感触はちょっと新鮮で面白いなぁ。

 しかし、裏を返せばボーイ・ミーツ・ガール成分が物足らず。脇役らしく、雪平とクニの触れ合いも控えめだったか。その辺の盛り上がりは次に期待かな?