SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

プシュケの涙

[著者:柴村仁/イラスト:也/電撃文庫]★★

 こういう構成だと、最後に自分がどんな気持ちになるか読了する前に分かってしまうのに、それでも書き手側の意図通り誘導させられてしまう。感情的に表現すると「くそ〜こんのずるいよなぁ〜、でも巧いよなぁ〜」といった具合か。末路を知ってからの遡りだから、どうにもならないのも頭では分かっちゃいるんだけど、心では「どうにか何処かで何かを変える事は出来なかったのか……」と考えてしまい、遣る瀬無い思いばかり募ってしまったなぁ。

 後半部分は、由良の“拘り”を明確に示す為だけに描かれた、かけがえのないエピソードだったのかも知れない。痛みを伴いつつ、納得の気持ちで深く胸に染み込ませる事も出来たので良かったなと。