[著者:冲方丁/イラスト:はいむらきよたか/富士見ファンタジア文庫]★★★
かけがえのない平穏な日々と、そんな平穏な日々に二度と手が届かなくなるような錯覚を引き起こす事になる最低の陰謀、そして最低の陰謀に臨まざるを得ない鳳、乙、雛に課せられる最悪の戦い。
この娘達は本当にね、いつもいつも見えざる敵に翻弄されて、必死で戦って、傷だらけになって、何とか退けて痛みを拭っても、必ず別の新たしい痛みを迎え入れてしまう。何かが解決した時に得られる笑顔より、苦痛や哀しみの表情が印象に残ってしまう結末ってのは、どうにも遣る瀬無いよなぁ……。
今回もまた失ったものの大きさに打ちひしがれるのかも知れないけれど、賢人達から託された“意志”が挫折を乗り越える力となってくれる事を願う。
スプライトシュピーゲル(4)
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冲方丁 富士見書房 2008年04月