SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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氷の国のアマリリス

[著者:松山剛/イラスト:パセリ/電撃文庫]★★★

氷の国のアマリリス (電撃文庫)

氷の国のアマリリス (電撃文庫)

 氷河期が訪れた世界。生き残った人間達は冷凍睡
眠装置『白雪姫(スノウホワイト)』の中で、いつ
終わるか知れない氷河期が去るのを待ち続ける事に
なります。冷凍睡眠状態の人間達と白雪姫の正常稼
動を管理する為、かつて共に過ごした記憶を持つロ
ボット達が地下深くで村を作り、自分達の“ご主人
様”がいつか目覚めるのを夢見て百年以上の時を生
き続けています。そんなロボット達の物語です。
 白雪姫の機能を劣化損傷から防ぐ為に、ロボット
達の部品を体内から抜き取って捧げている、と知っ
た時点で無理が生じているのは明白でした。不具合
のあるロボットも目立つ形で描かれていましたし、
予想は出来ていても破綻の瞬間が来た時は胸が詰ま
る思いでした。ただ、アマリリスの発案や決断が無
かったら、更に悲惨な結末を辿っていただろうかと
思うと、少しだけ救われた気持ちになれました。
 最後の最後まで無事に生き残れるかどうかも分か
らなかったので、この結末に至って本当に本当に良
かったです。アマリリスの過去の記憶が現実のもの
になった瞬間、彼女の歌が確かに響いていました。