- 作者: 縹けいか,カズキヨネ
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/メディアファクトリー
- 発売日: 2014/08/22
- メディア: 文庫
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自ら望んで自殺衝動に駆られてしまい、十代の内 に必ず自殺で死を遂げてしまう『モーテ』と呼ばれ る奇病に翻弄される人達の物語。最初は「ぼく」の 視点で描かれ、途中から登場人物が入れ替わり「私」 視点で描かれているる所が最も注目すべき点です。 要は同じひとつの大きな出来事を、二つの違う視 点から追い続け、両方を見終えた時点で全ての真実 が解き明かされるという仕組みなんですね。片側だ け追っていては、決して知る事の出来ない構成の妙 が巧く効いていて、凄く面白いなあと思いました。 不気味で重苦しい空気が強く、実際に彼の側に立 つと理不尽で胸糞悪い展開続きですけど、一方で眩 いほどの『純愛』にも満ち溢れています。“モーテ の奇跡”は少々都合良いかなとも感じましたが、そ うじゃないとさすがに遣り切れず救われなさ過ぎで すからね。黒幕を逃したせいかもやもやは残ったも のの、絶望を越えて想いが報われて良かったです。 『モーテ』という設定は続けて盛り込む事が出来 そうなので、違うお話もあるかも知れませんね。