SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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最果てのパラディンI 死者の街の少年

[著者:柳野かなた/イラスト:輪くすさが/オーバーラップ文庫]★★

最果てのパラディンI 死者の街の少年 (オーバーラップ文庫)

最果てのパラディンI 死者の街の少年 (オーバーラップ文庫)

 「ちゃんと生きて、そして死ぬ」。終盤のウィル
のこの台詞が深く胸に染み入りました。自分自身に
放ったものでもあると同時に、育ての親でもある不
死者達へ“そうあって欲しい”と向けられた彼の願
望でもあったのかなと。そんな風に思いました。
 ウィルに語れない事実はずっと気になっていて、
でもそれが明かされた時には、今のまま和気藹々と
した平穏な日常ではいられなくなるんじゃないだろ
うか? ウィルにとって前に進む為の大事な話であ
っても良い話とは限らないので、明かして欲しいよ
うな伏せていて欲しいような妙な気持ちでしたね。
 「ちゃんと生きて、そして死ぬ」。全うした大切
な人達の名を背負うウィルの姿に涙が滲みました。