SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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アンフィニシュトの書 悲劇の物語に幸せの結末を

[著者:浅白深也/イラスト:日下コウ/電撃文庫]★★

選択のやり直しを繰り返して物語の完結を目指す
 主人公・輝馬が本の中の『主人公』となって、未完結の物語を完結まで導いて行く。実際に輝馬が『本の中に入って』『主人公を演じる』。多数の蔵書を持つ依頼主・霧ヶ峰絵色の収集能力で特殊な本を得たのかどうか、その本に宿る『人の意識を吸い込む』原理は何か? の辺りは詳しく語られていない。

『ハッピーエンド』とは何か?
 輝馬にとっての依頼達成地点は、実は『物語を完結させる』ではなく、その先にある『物語のヒロイン・アリアをハッピーエンドへ導く事』。依頼を請け負う前の輝馬の発言が、後に大きな意味を持つ事になる。『ハッピーエンドの解釈は物語に触れた人によって異なる』、と。物語の結末の解釈について、深く考えさせられるお話でしたね。