SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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灰と幻想のグリムガル level.16 さよならの訳さえ僕らは知らないままで

[著者:十文字青/イラスト:白井鋭利/オーバーラップ文庫]★★

自力では事を動かせなもどかしさ
 『先の読めなさ』は多分シリーズ中で随一。かつての『パラノマニア』も大分ヤバかったですが、ハルヒロ達の置かれている状況が理解出来ている分だけ、今の方がさらにヤバい。分かっていてもどうにもならない絶望感。一旦希望を与えて上げておいてからの叩き落し。何を為す事がハルヒロ達にとって『正解』なのか見出せない。堪らないですね。

絶望の中で、奴の『ウザさ』が心に響く
 ただ、辛うじてギリギリの所で折れていない。どうにか踏み止まっている。こればかりは、かつての仲間との再会に感謝するしかない。ハルヒロの記憶が消されたせいで、劇的な再会とは行きませんでしたが、昔と変わらない不器用な『口汚さ』がどうしようもなく身に染みる。諦めるのはまだ早い。

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