SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

たとえば俺が、チャンピオンから王女のヒモにジョブチェンジしたとして。

[著者:藍藤唯/イラスト:霜降/富士見ファンタジア文庫]★★

職業選択の不自由
 この物語の世界は、人によって『適正職業』と言うものが予め決まっているらしい。なので、多分『なりたい職業を自ら考えて探す行為』自体が一般的ではない。自分の適性は『これ』だから、適正職を目指す、と最初から定まったレールが敷かれている感じ。そんな常識の中で、もしもなにものでもない『無職』が存在したら? 一切自分の価値を見出せず、それでも今を必死で生きる事しか出来ない。

職業に縛られるだけじゃない世の中を
 主人公のフウタは、『無職』のせいで散々理不尽に虐げられ続けて来た苦労人。彼を拾い上げたライラックは、特殊な職業のせいで他者から畏怖敬遠され続けて来た孤高の王女。こんな『職業に束縛された』世の中を根底から破壊したい、と言うライラックの切実な気持ちも何となく分かりますよね。