[著者:犬村小六/イラスト:雫綺一生/ガガガ文庫]★
シリーズ最終巻。ガメリアとの最終決戦。
最初から、戦力差で勝敗を覆すのは不可能だと突き付けられた上での戦い。これまでもそうでしたが、日之雄の行く末を担うクロトは、常に『最良の敗戦』に至る戦いを続けて来ました。
そうせざるを得ない状況で、この最後の戦いも、「どうすれば一矢報いて絶望を覆せるか?」について、試行錯誤の積み重ねでしたよね。
読む前から、誰がどうなっても、大量の犠牲者が出たとしても、そうなる覚悟は出来てました。そして、クロトなら『最良の敗戦』へと必ず日之雄を導いてくれる、と信じ続けながら読んでいました。
最終的な結末について。個人的には、「こうなって欲しい」と願っていたもの以上の結末でした。クロトとイザヤと中心に、戦争終結後のそれぞれの姿が見られて、感極まってしまいましたね。
あと、最後にもうひとつ。個人的にとても印象に残ったのが、カイルの末路の描き方でした。妙に頭にこびりついて、離れてくれないんです。落差が衝撃的だったのと、最後の最後、微かな『再起の兆し』を彼の中に見たから、なのかも知れません。
ここから先の未来。今度は戦争以外の場面で、再びクロトとカイルが勝負に臨むような、そんな情景が少しだけ見えたような気もしました。