[著者:両生類かえる/イラスト:甘城なつき/MF文庫J]
『嘘も方便』『噓から出たまこと』『正直者はバカを見る』、みたいな言葉が頭に浮かぶ。“嘘つきと正直者”“嘘が嘘でなくなればそれは本当になる”的な要素が込められた物語。読んでいて、「分かりやすく理解しやすく導くのが難しい要素だなあ」と思いました。
メインは、『本当の事しか言えない』疾患を持つ主人公・海鳥東月に、“嘘をつける状態を与えて正常に戻す”というもの。ここを達成目的として進んでいる状況は割と把握しやすい。
ただ、『嘘憑き』とか『嘘しかつけない』とか『嘘が本当になって実現化』みたいな“嘘”要素が絡んでくると、一気に複雑化してちょっと頭がこんがらがってしまう感じでした。ここら辺が、把握しやすく描くのが難しいと思わされた所ですね。『嘘憑き』の組織がどれだけの規模でどれくらい現実に影響を及ぼしているのか、この辺りもまだ手探り状態で気になる所でしょうかね。
『嘘つき』と『正直者』の交わりのほかに、意外とガッツリ異能力バトル的なアクション、あと東月と芳乃の百合っぽい友情なども見所かなと思いました。