SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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私の推しは悪役令嬢。4

[著者:いのり。 /イラスト:花ヶ田/GL文庫]

 いちゃいちゃ百合百合要素はどこいったー? ……ってな具合です。いや、揺るぎない仲の良さは変わらずで、娘のメイとアレアと共に存分にいちゃいちゃを見せ付けてくれてるんですけどね。第二部からはそれどころじゃないと言うか、もう気軽に気楽に百合を堪能してる場合じゃなくなっている。

 メインで描かれているのが、国家間レベルでの政治的な駆け引きになっちゃってるんですよね。でもこれはこれで、充分に読み応えのある展開で引き込まれています。レイとクレアのいちゃいちゃ場面が減ってるのはちと惜しいですが、ナー帝国内部での二人の立ち回りも見ていて面白いです。

 これまで謎や疑問とされていた部分が徐々に明らかになり、帝国編も佳境に入りつつあるような、そんな緊張感が増して行く内容でした。女帝ドロテーアは、武力で相手国をねじ伏せて屈服させる『独裁者』気質かと思ってました。ただ、本当は娘のフィリーネの事を考えている態度を隠しながら取っていたり、なんか腹の中に“伺い知れない本心”を抱いているようにも見えました。

 今回のラストで、いよいよそのドロテーアの真意が明らかになりました。「なるほど……そう言う事情だったのか」と。その存在も思惑も、いまだ多くが謎に包まれている『魔族』。果たしてレイたちは、この難敵にどう立ち向ってゆくのでしょうか。

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