SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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塩対応の佐藤さんが俺にだけ甘い6

[著者:猿渡かざみ/イラスト:Aちき/ガガガ文庫]

 薫の第一印象は「なんかめんどくさそうな子が颯太に絡み出してきたぞ」。同時に、決して性格の悪い子でも嫌な子でもない事も、『キャラ』と『素の自分』を使い分けている口調や態度から容易に察せられていました。

 ただ、露骨に颯太をこはるから奪う気満々で間に割って入っているのは、ちょっとイラっとさせられてました。まあ、徐々に薫の抱えている本質的な気持ちも理解出来るようになって行ったので、徐々に好感に変わってくれたんですけどね。

 あとは、これまででもっとも颯太とこはるの間の“もどかしさ”が大爆発してたのも、やきもきさせられる要因でした。もうホント今回はね、互いに相手を気にして言いたい事を言えないまま引きずってたもんだから、見守ってるこっちも爆発寸前でした。そうもいかない事情を抱えているのは分かっていながらも、「さっさと本音を言い合えよ!」と。

 その辺りのすれ違いの危機感は、新たに築かれた『奇妙な縁』に大いに救われた結果となりました。意外な事に、あれだけウザかった元SSFメンバー三人が助演賞ものの支えっぷりで、こはるを叱咤激励してくれたのが妙に嬉しかったですよね。

 それから、今回ライバル関係にあった薫の存在。何となく「こはるとはこういう関係の形におさまって欲しいな」と思う通りに落ち着いて、こちらも見ていて嬉しかったです。こはるが颯太への思いを一生懸命に振り絞って、勇気と積極性を出して頑張った結果ですよね。

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