[著者:秋/イラスト:しずまよしのり/電撃文庫]
アノスファンユニオン、すげえええええーーーーーっ! いや、正確には彼女たちの唱える魔王様讃美歌から発せられる『愛の力』なんですけども。魔王偏愛妄執変態集団と思いきや、地下世界編で躍動しまくりですねホントに。
彼女たちが起点となって唄が地底世界全域に広がり、実際に地底に破滅をもたらす『震雨』の被害を食い止めている。その様子を目の当たりにしたとなれば、どれだけ歌詞の内容がイカレていようとも受け入れるしかないです。
アノスはここまでの結果も見越して、ファンユニオンを同行させたようにも思える。これはディートリッヒとナフタの以上の『アノス的未来視』、と言えるのかも知れない。まあアノスの感覚としては、「全くどうと言う事もない」程度なんでしょうけど。
今回は地底世界の決着編。神の受け入れ方が全く異なる地底三国、一致団結で天蓋落下の絶体絶命の危機を回避出来るか? と言った展開。まあ主義主張が真っ向対立でまとまる話もまとまらんもんで、「こりゃ無理だ」と放り投げたくなりました。
が、その中心には絶対的な存在感を放つアノスが居る。どんなに覆せそうにない問題も、「アノスならやってくれる」と言う圧倒的な期待感と信頼感が彼にはあるんですよね。よくここまで、『救われなければならない者たち』が『絶対に最良の形で救われる』結末へ導いてくれるなあと。
極限状態まで追い込まれた後に手にした、じんわりと噛み締めるような救いある結末でした。アノスの過去に関しては、結局あまり謎は解かれませんでしたが、次巻以降大きな動きがあるそうなので期待したいです。