SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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果てない空をキミと飛びたい 雨の日にアイドルに傘を貸したら、二人きりでレッスンをすることになった

[著者:榮三一/イラスト:フライ/HJ文庫]

 そう言えば、何故アイドルが航空機操縦を覚える事になったのか? なりゆきで主人公がヒロインに操縦を教える事になってから、途中で沸き上がって来る根本的な疑問について。明かされて「なるほどね」だったのですが……それにしても「無茶な企画通すなあ」って思わず言いたくなりましたよ。

 もっとも、航空機の操縦や航行が一般的に身近になり、さらに安全性が充分に確保された日常ならではの展開なのかな、とも思いまいした。タイトルの通り、一度きりの手助けだと思ったアイドルと、航空機操縦を通して親交を深めて行く、王道定番のボーイ・ミーツ・ガールな物語です。

 航空機関連に知識のない身としては、時折マニアックな方向へ傾き気味な部分もあったかなって印象で。決して読み難いわけではなかったんですけど、知ってた方がより物語に入り込めたのかなという意味では、充分に堪能出来ない部分もあったかも知れません。

 ただ、矧と美月の初々しい恋愛模様を堪能する物語としては、充分過ぎる程に楽しめました。安心安定って言うんでしょうかね、二人だけの空間で徐々に惹かれ合う姿はとても良いものでした。しかし『立場が違う』と言う付き合いの難しさは、今後直面しそうな問題になりそうで、その辺はちょっと心配で気になる所ですね。