SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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きみが来た場所

[著者:喜多川泰/ディスカヴァー・トゥエンティワン]

 脱サラして起業した40歳の主人公・秀平。自分の理想を掲げて開業した塾の経営がうまく行かず、家庭円満ながら妻の第二子懐妊の報告を聞いて先行きの不安も増して行く。

 そんな中、仕事の負担から風邪で体調を崩した秀平は、駅のコンビニで妙に目を引く和服の女性から風邪に効くと言うキャンディーを買う事になる。しかし実はそのキャンディーは、秀平の先祖の過去の事実を夢の中で見させてくれる不思議なものだった。

 秀平は、これまで知らなかった父母や祖父母、それ以前の先祖達の生き様に触れて、自分自身が『どんな思いを抱いて何を為すべきか?』を見つけ出して行く事になる……というお話。

 要は小説の中に自己啓発の要素を取り入れた感じの内容なのですが、こう物語仕立てで熱量を向けられると、何となく著者自身からの自己啓発的な言葉よりも心に刺さるなあって感じがしました。

 特に主人公・秀平への感情移入度が凄いんですよね。読後に何を伝えたかったかが改めて噛み締めるようによく分かる、実に心地良く印象に残る結末でした。