SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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最後の医者は雨上がりの空に君を願う(上)

[著者:二宮敦人/カバーイラスト:syo5/TOブックス]

 『最後の医者は桜を見上げて君を想う』の続編。主義主張の対立で相容れない桐子と福原の二人が、同期で親友の音山の希望を果たす為に共闘した手術を終えた後のお話です。

 桐子は病院から解雇され、父親である院長に逆らった福原は副院長ながら閑職に回されてしまう。完全に交流が分断されたかに見えた二人が、とある患者の病状によって再び交差する辺りは、まるで互いに見えない糸をたぐり寄せ合っているようにしか見えませんでした。切っても切れない深い縁、というやつで。

 再会しても相反する主義主張の衝突は相変わらずでしたが、以前よりも『そういう考え方もある』と相手を認めている雰囲気はあったかも知れません。今回のメインエピソードは、おそらく第一話の結末を二人が抱えた上で展開されている第二話でしょう。

 いい所で『下巻へ続く』でしたが、これは多分桐子と福原の出会いの『原点』なのではないかなと。桐子の気持ちが過去の記憶へと向かわせた所から、果たしてどのような事実を受けて現在の関係へと至ったのでしょうか。

既刊感想:最後の医者は桜を見上げて君を想う