SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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汚れた赤を恋と呼ぶんだ

[著者:河野裕/イラスト:越島はぐ/新潮文庫nex]

 階段島シリーズ第3巻。今回は、魔女の力を頼って階段島に『人格の一部』を切り捨ててしまった、元の世界側の七草と由宇と相原大地に関するエピソード。

 徐々に七草が置かれている状況に慣れて行くに連れて、元の世界側でも『魔女の力』が大きく絡んでいるのと、捨て去った側の七草の心境などが分かり始めて、なかなか興味をそそられる内容でした。

 階段島との『人格』の繋がりは何となく分かったようで、でもどちらの世界にも及ぶ『魔女の力』に関しては余計分からなくなったり、「結局どう言う事?」と複雑な心境を次以降へ持ち越すような手応えでした。

 ただ、この大地少年の『捨て去ったものを取り戻す行為』の一連を眺めながら、七草も由宇も『そうなる事は可能だ』と言う実感が得られた気もしました。とは言え、片側の世界だけで足掻いても無駄なようで、結局まだ“どうなりたいのか”は曖昧なままのようにも見えていました。

既刊感想:いなくなれ、群青
     その白さえ嘘だとしても