[著者:佐原一可/イラスト:刀彼方/HJ文庫]
生活基盤の全てが、長期的な安定保障を約束された世界と言うのは、現実世界において理想の到達点なのかも知れないなあ、と頭の中でぼんやり考えたりしてました。
人口増減、健康、就職、お金、食糧……などなど、様々な問題が技術革新によって解消されて、長期安定で安心安全の世の中って、夢物語だとしても憧れは抱いてしまいそうです。
しかし一方で、絶対的な安定を得た=頂点に達してしまった=新たな発展性が見込めない、と考える事も出来るわけで、そう言った『新しいものへの欲求の欠落』が安定の衰退を呼び起こす可能性もゼロではない。
そのような、何となくの危機感を抱いている人達の葛藤の物語でもあったのかなあ、と個人的には思ったりもしました。