SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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さよならの言い方なんて知らない。3

[著者:河野裕/イラスト:越島はぐ/新潮文庫nex]

 香屋が目指している、あるいは求めている結末とは、『誰もが勝者にも敗者にもならない“引き分け”的な結末』なのかな……と彼の感情や行動を追いながら思ったりしたわけですが。

 確かなのは、安易に生を奪う行為、逆に安易に死を求める行為、つまり『命を粗末に扱う事』に対して、香屋は強い怒りと拒否の反応を示していると言う点。

 臆病な存在を自覚しながら、ウォーターにとっては最大の障害となり得る、大胆不敵な彼の『裏に潜んでの先読み行為』は、心の奥底に何を抱いて為しているものなのか? いや、本当に最終的な引き分けでの決着を香屋が求めているのかは分かりませんが、もしかしたら心に秘めた“何か”が、次巻辺りで具体的に語られるかも知れません。

 なにせ、今回の終盤でそれまでの激戦の印象が吹っ飛ぶほどの、衝撃的な事実が明かされてしまいましたからね。どう受け入れるべきか……と、気持ちの整理が追い付いてません。

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