SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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さよならの言い方なんて知らない。4

[著者:河野裕/イラスト:越島はぐ/新潮文庫nex]

 香屋の目指している願望の到達点は大体想像通りで、ただし当然ながら思い通りに事が運ぶとは思えないし、香屋の考えがそれだけではない可能性もある。結局は、運営が何を意図して『架見崎』の舞台を操っているのかが見えて来なければ、明確な解答は掴めないと言った感じです。

 今回は『陣取り合戦の激化』を表面上で演出しながら、実際の狙いは勢力関係図の大幅な整理だったように思いました。その様々な局面で戦いが繰り広げられている『一段階上の目線』で、香屋とトーマの主張の衝突=真の闘いが敷かれていた印象です。

 唯一、ユーリイのみが規則に従わない存在で、あえて自分から視点を下げているようにも見えながら、彼の意図は他者からはさっぱり見通せない状況です。

 まあそこはユーリイ自身でも分かってないみたいなのでねえ、見てるこっちも割とお手上げなもんだから、実は一番厄介な行動予測不能人物なにかも知れません。

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