SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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さよならの言い方なんて知らない。6

[著者:河野裕/イラスト:越島はぐ/新潮文庫nex]

 ヘビ(ウロボロス)の脅威は、香屋やトーマの感じ方から察せられはするものの、まだあまり『架見崎』にとって表立っての脅威にはなっていない印象でした。それはおそらく、まだ大多数のプレイヤーに対して真実が明かされていないからではないのかなと。

 ごく一部以外には伏せられた存在で、香屋もトーマもヘビを止めると同時に自分の都合の良いように利用しようとしている風にも見える。放り込まれたヘビは、自我が無いも同然の存在なので、自分の戦略の内に取り込める……と思っている。

 でも、真に厄介なのは、ヘビが架見崎を創造した『運営側』から介入しようとしている存在であると言う事。香屋であってもトーマであっても、扱いを誤るとただでは済まない危険性を孕んでいる気もします。もっとも、二人はそれすらも想定して先を見通しながら動いていそうですけどね。

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