SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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六人の嘘つきな大学生

[著者:浅倉秋成/KADOKAWA]

 一番最後に「報われた……」の一言が、深い深いため息とともに残りました。

 『一流企業の最終面接』と言う緊張状態の極限の中で、次々と同期メンバー達の『薄汚い闇や嘘』が理不尽に暴かれて行く。

 謎とされていたのは、面接から数年経った状態で参加者達に意見を求めている『聞き手役』は誰か? そしてもちろん、全てを仕組んで面接参加者達を陥れた『真犯人』は誰か?

 中盤までは、この二つの『謎』が物語を強烈に引っ張っている印象でしたが、やがてこの物語の『本質』はそれらとはまた別の所にあるのかも、と気付き始める事になりました。

 それぞれが裏側で抱えていた『薄汚い闇や嘘』の更に“裏側”、つまり当時だれもが目が曇って見えていなかった『表の真相』について。事の本質はそこにあったのかなあ、なんて思いながらの最後の最後で形になった『報われた気持ち』でした。