[著者:平野啓一郎/文藝春秋]
もし死者をAIとしてよみがえらせる事が可能な現実だったら、自分が亡くした近しい人達に対してそれを望むだろうか? と、読みながらずーっと考えさせられ続けていました。
作中では2040年、現実に置き換えるとあと16年後。現代のAIの爆速的な進化を見るに、実現可能な匂いが強く漂っていて、その雰囲気が死者蘇生について考える事をより後押ししていました。
ただ、朔也のように死んだ人の本心を知りたいと切望しても、あくまでAIである限り、本当の所は叶わないのではないか。それでも死者と再び対話をしたいのは、それを望んだ自分自身の気持ちを整理する為にこそ必要なものだったように思いました。