[著者:知念実希人/KADOKAWA]
死に間際の言葉くらい素直に伝えられたら良かったのに……と言ってしまいたくなったものですが。そうは行かない複雑な事情を全て知った後には、本音を尽くせなかった水城穣の苦悩や葛藤や悔恨が一挙にあふれ返ってしまってたまらなかったです。
千早は父の遺言を言葉通りに捉えてしまってたので、読みながら「多分その通りの意味じゃないんだろうけどなあ」なんて思いながら、父の死を振り切れない彼女の心の痛みが重く圧し掛かってしまうものでした。
事件の真相を一緒に追った紫織は、千早にとって本当にかけがえのない大切な存在。紫織がいなければ絶対に真相には辿り着けなかっただろうし、穣の真のメッセージを受け取った千早が前を向いて歩めるようになれたもの、彼女が寄り添ってくれたからこそではないかなと。