SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第三部 領主の養女V

[著者:香月美夜/イラスト:椎名優/TOブックス]

 第三部完結編。物語の節目に大体良くも悪くも大きな出来事が待ち構えていて、今回もまた想像を超える事態がローゼマインの身に降りかかる事に。ヴィルフリードの愚かな行為や、ローゼマインとシャルロットの誘拐や、そこに繋がる黒幕らしきゲオルギーネの存在など、幾つも不穏な気配はありました。

 が、ローゼマインの身に起こった事は、それよりももっとずっと予想外で「えええーーっ!?」みたいな驚きの声が上がるような展開で。確かに事前にフェルディナンドから『身体根治の薬を飲むと一定の休眠期間が発生する』とは言われていたけれど、まさかここまで……だったとはねえ。

 その『休眠期間』が明けた直後で第三部終了となったので、その後の様子など詳細はまだよく分からない。ただ、『貴族院入学に間に合った』とフェルディナンドが言っているので、次は貴族院生活がメインになるんでしょうかね。まあその前にローゼンマインは色々と“おいて行かれている状態”なので、現状把握と遅れを取り戻す事が先決なのかも。

本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第三部 領主の養女IV

[著者:香月美夜/イラスト:椎名優/TOブックス]

 なんか当たり前のように紙製作技術と印刷技術が日々向上を続けていて、気が付けば当たり前に『本製作』が順調に軌道に乗っている事が日常的になっていて、ふと気付いてようやく「あっ!」と驚かされてしまう。

 初期の頃は手掛かりが少なく、試行錯誤の連続で、さらにマイン自身が虚弱でまともに動ける状態じゃなかった。この辺りの様子を思い返すと、「よくここまで来たもんだなあ」と思わず感慨にひたってしまいます。ただ、これでもまだローゼマインにとっては発展途上段階で、このままどこまで極めて行くのか興味深く楽しみな所ですよね。

 領主の養女、上級貴族、神殿長、など何足も草鞋を履きながら日々奮闘しているローゼマインに対して、どうにもキナ臭い不穏な動きが見え始めて来たのが今回の終盤での出来事。

 どうにもジルヴェスターが領主として弱腰なのが頼りなくて、不安を助長させてしまうんですよね。まあ状況を考えると仕方のない事なんですが……どうか醜い嫉妬や復讐心や権力欲がローゼマインを貶めるような事態になりませんように。

本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第三部 領主の養女III

[著者:香月美夜/イラスト:椎名優/TOブックス]

 どうやらこの第三部の終着点は、『ローゼマインの体内の異常を完治させる』所に定まりつつあるような感じ。

 そもそもフェルディナンドがローゼマインの身体の異常を察知したのが始まりだったはずで、では何故彼女の異常を完治させる必要性があるのかと改めて考えてみると、「そういや何でだっけ?」ってなったりしてました。

 今は素材採集を無事に成功させる事に注力していて、目的そのものがなんだったのかフェルディナンドに確認し難い状況なのかなあなんて思ったりも。

 完治すれば多分ローゼマインの虚弱体質も改善されるはずで、じゃあ何故彼女をそういう状態にさせたいのか、と結局ここに戻ってしまうわけですね。

 まあこちらがフェルディナンドの目的を忘れているだけかも知れませんが、素材採集が大詰めを迎える頃に、また改めてローゼマインの道標が知らされる事になるのでしょうかね。

本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第三部 領主の養女II

[著者:香月美夜/イラスト:椎名優/TOブックス]

 ルッツや元の家族達との交流が完全に切れたわけではない事は、多忙極まりない今のローゼマインにとっては少なからず精神的な救いとなっているかな、と現時点での彼らとの繋がりの様子を眺めながら思いました。

 契約で家族の縁が強制的に切らされる事実に一旦は絶望を覚えたもんでしたが、身分をわきまえた接し方さえ間違えなければ、心の中の絆は今も繋がっているんだと分かってかなりホッとさせれれました。まあルッツやベンノなんかは、ローゼマイン専用の秘密部屋の中では口調も態度もマイン時代の頃と変わってないですけどね。

 前述のように今のローゼマインには、上級貴族として、領主の養女として、神殿長として、本当にあれこれとやらなければならない事が多い。貴族として過酷な選択や決断を迫られる状況も増えて来ている。

 ただ、多忙ながらも充実しているし、ローゼマイン自身にもやり甲斐や手応えを得られているような状況に、あまり不安を抱かずに済んで見ていられる所は割と良い感じなのかなと。

本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第三部 領主の養女I

[著者:香月美夜/イラスト:椎名優/TOブックス]

 上級貴族で領主の養女でローゼマインとなっても、一番の厄介な問題が『身食い』に侵された“超病弱”である事には変わりなく。

 上級貴族・領主の養女・神殿長、とトリプルクラスアップを経て、おそらくローゼマインの身で出来る事や得られる事が新たに増えたはず。その中で、どうやら身食いの根治を目指す方向へと進んで行きそうな雰囲気もあります。

 神官長フェルディナンドがローゼマインを魔力で身体検査をした際に、かなり気になる結果を口にしていたようで、そこに根治への手掛かりがありそうな感じですよね。まあそもそも病弱の身をある程度何とかして体力をつけないと、病弱の身を救えないと言う理不尽さもあるんですけど。

 もっとも、身分は変化してもローゼマインの元々の創作意欲、企画発想力、商魂、などは健在みたいで、その辺は案外安心して見ていられたかなあって感じでした。