SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第二部 神殿の巫女見習いIII

[著者:香月美夜/イラスト:椎名優/TOブックス]

 金属文字の生産に成功し、印刷機開発の目途も立ち、「印刷技術の幕開けだ!」とマインが喜んだのも束の間。大っぴらに目立つ商売はお貴族様の『既得権益』を脅かす事になるそうで、平民身分のままでは問題ありとして、印刷機を用いての本の量産は一時停止せざるを得ない事になる。

 この事に関連して、神官長が提案する『上級貴族の養女』になる事をマインが受け入れれば、身分を気にせずに大手を振って印刷技術を振るえる、と言うもので。

 マインの魔力を狙う魔の手の危険を回避する意味で、どうやら貴族の養女を受け入れなければならない方向に話が進んで行きそうな雰囲気になって来た感じです。

 10歳を迎えたら有無を言わさずに、との神官長の断言なので、どんなに駄々をこねようとも、おそらくマインが家族と暮らせる時間はもう残り少ない。

 加えて神殿長の『身食い(マインの病名)』を求めているらしい不穏な発言が残されていたりで、もしかしたらマインが決断すべき時は想像以上に迫って来ているのかも知れません。

本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第二部 神殿の巫女見習いII

[著者:香月美夜/イラスト:椎名優/TOブックス]

 「遂に本が完成したぞおおおーーーっ!!」って思わず喜びの声を上げてしまう。マインにとって、前世からの望みであり、悲願であり、ひとつの到達点でもあり、嬉しさと喜びと報われた感と達成感が絡み合いまくった“感情のたかぶり”のシーンは本当に印象に残りました。

 とにかく今回のマインは創作意欲の能力が絶好調で、「貴女、今、神殿巫女見習い……ですよね?」とか思わず身分と立場を問い掛けたくなる位、まあ水を得た魚のごとく活き活きしてましたよね。

 ただ、こんな平和的に充実感であふれた神殿生活も、たった一度の『お貴族様』からの一方的かつ理不尽な仕打ちを受けるだけで、あまりに脆く崩れ去ってしまうものだと言う嫌な実感を味わわされてしまう事に。姿を見せない神殿長の間接的な嫌がらせもあって、相変わらず「貴族階級うぜー」「神殿の身分関係めんどくせー」でした。

 どうも今回のマイン、魔法力の凄まじさを派手に見せつけ過ぎたみたいで、神官長も危険視していますが、目立ったせいで厄介な貴族に目を付けられないかちょっと心配な所です。

本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第二部 神殿の巫女見習いI

[著者:香月美夜/イラスト:椎名優/TOブックス]

 「神殿長の嫌がらせウゼぇーーーー!!」と「貴族階級とのやり取りめんどくせぇーーーー!!」でした。マインが大して精神的ダメージを負っていないように見えるのは、神殿や貴族の世界と市民貧民との世界があまりに違い過ぎて、ついて行けなくてポカーンとなってたからでしょうかね。

 それに元々の打たれ強さもあるようで、言葉の嫌がらせ程度ではあまり動じないと言うか、マインの年齢を考えるとやり過ぎなくらいしっかりしてるよなあって感じです。

 何だかんだで、いつの間にか神官長や従者や孤児院の子供達から理解を得られるようになってるし、危惧している神殿長の嫌がらせもごく控え目で、まだ今の所はマインの神殿巫女の新生活も割と順調なのかなと。

 あと別の心配事で、ルッツの職業が絡んだ家族とうまく行ってなくて家庭崩壊気味の問題。こちらはまあ双方“大幅に”言葉足らず、と言った具合で。とりあえずこじれたルッツの家族間いがみ合いも丸く収まり、父親の理解も得られてひと安心かな。

田中家、転生する。5

[著者:猪口/イラスト:kaworu/ドラゴンノベルス]

 これまでエマとスチュワート家が関わって来た問題の中で、今回のやつは特大級に厄介な問題なのかも知れない。

 鬱に沈む事があり得ない程滅多に沈まないエマが、この問題に直面した瞬間に精神病んで撃沈してしまいましたからねえ。前世の『アラサーな容姿の制服着た自分=田中港』に異世界で向き合ってしまったら、そりゃ「ありえない!」と叫んで現実逃避したくもなる。

 本当に問題なのは、何故偽者の田中港が異世界に存在しているのか、原因や事情や解決の糸口がさっぱり見つからないと言う事で。多分、王国に攻め込んで来るらしい不穏な噂のある帝国が絡んでいるんだと思うんですが……。

 まあとりあえずエマの心身が持ち直してくれてホッと一息。ただ、偽・田中港問題はそのままで、未だ対処法が見えない中、果たしてエマがどう解決策を見つけて向き合って行く事になるのか。

田中家、転生する。4

[著者:猪口/イラスト:kaworu/ドラゴンノベルス]

 今度は皇国にまでその名を轟かせてしまうスチュワート家。皇国滅亡の危機に瀕する植物被害もなんのその、軽々と易々と討伐してみせる辺りはさすがと言うしかない。

 当人たちは『なるべく目立たないような言動を心掛けている』らしいけど、無意識に無自覚に“本人達は全くそう思っていない”言動の全てが目立ってしまってるんだよなあ。

 その事にすら気付いておらず、のん気に王族皇族貴族らと互角以上の成果を上げて渡り合ってるんだから、無自覚が極まっていてもうどうにもならん、と言う感じ。

 まあ苦戦してしまうのもスチュワート家らしくないので、こうテンポ良く事態解決に導いた上で自らの利益に変えているのを見て、「スチュワート家らしいなあ」って眺めていられるのは良い事なのかも。