SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

隣の席の元アイドルは、俺のプロデュースがないと生きていけない

[著者:飴月/イラスト:美和野らぐ/富士見ファンタジア文庫]

 主人公・柏木蓮がクラスメイトになった元アイドルヒロイン・香澄ミルのお世話をするお話。アイドルとしての生活に全てを費やし、アイドルとして生きる以外の生き方を全く知らないミルを、蓮が“普通の一般人”としての生き方へと導いて行く。

 ミルの生き方や常識が一般的なそれとズレているのは見ていて明白で、ファンとアンチが同時に付くように、好意的な受け入れと嫉妬や嫌悪の拒否感が混じるのも仕方ないかなあと言った所。そこから蓮がどう立ち回って、彼の行為に影響を受けたミルがどのように感情を変化させて行くのかが大きな見所です。

 ただ、ミルが変わって行く様子が目を引く中で、実はミルを受け入れながら蓮が変わって行く方こそが一番の注目点なのかも知れません。

竜殺しのブリュンヒルド

[著者:東崎惟子/イラスト:あおあそ/電撃文庫]★

 結末について。完全に個人的な嗜好で好きか嫌いかを言ったら好きじゃないんですけど、終わって冷静になって振り返ってみて、この結末しかありえない道程の描き方だった思ったので充分に納得は出来ました。

 まあ、受け入れられるかどうかは個人個人で色々あると思うので。ただ、それでもどうしても何とか『幸せな結末』で報われて欲しいと願ってしまうもので、そんな具合の気持ちの持ち方だと「きついなあ……」ってとこでしょうかね。

 ブリュンヒルドは表面上で色々な良い顔や、相手に好意を抱かせるような言動をしてみせています。恐ろしいのが、どこからどう見聞きしても『本心』から発せられるものだとしか思えなかった所。これが本当に本心からのものだったら……と、もう未練たらたらで思ってしまうのでいい加減止めにします。

 そう言ったブリュンヒルドの言動に散々翻弄されてしまいまいたが、結局彼女の中にあった真実の本心はひとつだけで、それは最初から最後まで変わらないものでした。

信者ゼロの女神サマと始める異世界攻略 1.クラスメイト最弱の魔法使い

[著者:大崎アイル/イラスト:Tam-U/オーバーラップ文庫]

 クラスで集団事故死からの異世界転生。主人公・高月マコトの特徴を一言で表すなら『弱い』です。スキル自体はそれなりかつ『マコト専用』の特殊性もあるのだけれども、とにかく基礎的なステータスが限りなく貧弱であまりに気の毒過ぎる。

 もっとも、マコトって「まあなんとかなるだろう」の精神で,弱くても案外悲観的にも後ろ向き思考にもならないんですよね。前向きかと言われると微妙な所ですが、弱さを自覚しながら創意工夫で難局を次々と乗り越えて行く姿は好感が持てて良いなと思いました。「気張らずに頑張れよ~」緩く応援したくなります。

 ただ、そうやってマコトがどうにか一生懸命やっている裏で、女神ノア様が何か画策してるっぽいのがちょっと気になる所で。純粋に信者獲得で喜んでるのかと思いきや……マコトを利用してるのかどうかって所は、要注目しつつ追って行きたいですね。

水無月家の許嫁 十六歳の誕生日、本家の当主が迎えに来ました。

[著者:友麻碧/イラスト:花邑まい/講談社タイガ]

 母には虐待され捨てられ、良くしてくれた父には謎の奇病で先立たれ、自らも父と同じ奇病を発症。人生詰みかけた主人公・水無月六花、十六歳の誕生日に奇跡のような救いの手が差し伸べられる。

 救いとなった水無月文也は、おとぎ話『かぐや姫』の伝説が実在する一族の本家当主。六花は偶然にも文也の許嫁に選ばれてしまったが、実はそれは偶然ではなく幼い頃からの必然の約束であった。絶望から救われたと思った矢先、六花は水無月家が相続問題で本家と分家が激しく醜く争い合っている現実を知る事になる。

 ……と、大筋はこんな感じで、辛く惨めな端役人生から正ヒロインへと引っ張り上げられてしまう、みたいな感じだったでしょうか。陰湿過ぎる母親や、扱い慣れない水無月の力に翻弄されてしまう部分もありながら、心優しい文也に守護されて幸せに満ちた空間に居られるようになったのかなあ、と思いながら六花の事を眺めていました。

 葉や卯美などの味方や、二人の結婚を好意的に後押ししてくれる人達も結構いたので、今はまだあまり相続争いの問題は表面化も深刻化もしていない雰囲気でした。もっとも、一族の中で六花が最も強い水無月の力を持っている以上、分家が黙っていないだろうから、このまま平穏ではいられないかも知れないですね。

魔術師クノンは見えている

[著者:南野海風/イラスト:Laruha/カドカワBOOKS]

 「目が見えないなら魔術で目を作ればいいじゃない」的発想で魔術を極めて行く、若干10歳前後の主人公クノン。重い宿命持ちで、暗くて下向きな性格だったのが、師匠の失言によって逆に吹っ切れて意識覚醒。それまでとは真逆な、明るくて楽観的でおちゃらけが過ぎるお調子もんな性格になってしまいました。

 この性格激変には唖然とさせられたもんですが、そのお陰で話の雰囲気自体も明るくなってくれて良かったのかなあと思いました。もし初期タイプのクノンのままだったら、多分目が見えないハンデと消極的な性格で鬱々として展開になってた気がするので。

 今回の終盤で、クノン待望の目的は一応達せられたわけですが、肝心の『見え方』がちょっと妙な具合でしたよね。『見えないモノがクノンにだけ見える目』とか、どう言う事なんだろう……? 今の所、その本質は全く見出せていませんが、見えているモノとクノンだけに見える意味もいずれ明らかになるのでしょうか。