SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

ストレイト・ジャケット6 ラクエンのサダメ~THE MIRAGE~

[著者:榊一郎/イラスト:藤城陽/富士見ファンタジア文庫]

 『魔族化した個体に人間と同等の理性や感情を残す事』についての研究に取りつかれ溺れた医師の話。ここから、もしかしたら理性的な魔族化の実用に成功したならば、あたゆる新たな可能性が生まれるかも知れない、と言う方向に流れが広がって行くような感じでした。

 当然レイオットは激しい嫌悪を示す程に否定的で、しかし魔族化に理性を宿した『完全体』が存在している事も示されたわけで。この先、魔族・魔族化・完全体の要素が一層色濃く物語に絡んで来る事になるんでしょうかねえ。

 レイオット自身にも、魔族化の実態についてとか、誰が何の目的で魔族化に絡んだ暗躍をしているかは把握出来ていなくて。そう言った得体の知れない闇がじりじり迫りつつあるような何となくの嫌な感じもありました。

ストレイト・ジャケット5 ヨワムシのヤイバ~THE EDGE~

[著者:榊一郎/イラスト:藤城陽/富士見ファンタジア文庫]

 学校で陰湿ないじめにあっている、誰にも助けてと言えずに鬱屈とした黒い感情を抱えている、禁忌の裏本的な魔法書を所持して崇拝している……これだけでもう魔族化待ったなしの女生徒が、予想通りに最悪の変貌を遂げてしまう、と。

 この魔族化の異形と、妙な形で間接的に関わる事になってしまったレイオットが討伐するまでは、割と先読みし易い想定内のお話。

 ただ、通常に見られる魔族化とは差異が見られた事が今回のポイントで。理性を失い直線的に暴走する、とは一線を画する『理性で行動』『人間時の感情を伴う』魔族化とは一体何なのか。

 貴族紳士風のロミリオの暗躍の目的は、ここに大きく絡んでいるようで気になる所だし、この魔族化の変異も後々の展開に大きく影響を及ぼすような嫌な雰囲気もありました。

ストレイト・ジャケット4 オモイデのカナタ~THE REGRET/SECOND HALF~

[著者:榊一郎/イラスト:藤城陽/富士見ファンタジア文庫]

 レイオットとカペルの出会いの過去と現在とを繋ぐエピソード後半戦。エグい。グロい。そして割と救いがない。過去の状況から、今現在レイオットのそばにカペルがいる事を考えると、あまり綺麗な幕切れが望めないのは予想出来ていた事ですけどね。

 別の側面として、『魔法とは何か?』『魔族化とは何か?』について、これまでよりも数歩踏み込んだ内容だったようにも感じました。この辺りは未知の領域で、魔法を使っている側や魔族化を殲滅する側にも明確な把握は出来ていないようで。この過去の出来事のような“想定外”はいくらでもあり得る、と突き付けられたような思いもありました。

 まあレイオットはそれも重々承知している事でしょうけどね。正体不明の老人ロウと、魔法発動の関連性の話はまたどこかでレイオットの身に突き付けられる事になりそうです。

ストレイト・ジャケット3 オモイデのスミカ~THE REGRET/FIRST HALF~

[著者:榊一郎/イラスト:藤城陽/富士見ファンタジア文庫]

 レイオットとカペルの出会いの過去と現在とを繋ぐエピソード前半戦。序章でおぞましい断片が描かれていましたが、それが何を意味するかの真相にはまだレイオットは辿り着けていない模様。

 見たまんまで解釈するなら、魔族化したダニエル=カペルの父親がコーネリア=カペルの母親を孕ませてカペルが生まれた、となるわけですが。

 ただ、その状況に直接関わったロンと名乗る老人の正体はまだサッパリ分からないままなんですよね。レイオットの過去の因縁の詳細を知っているようなので、彼との関連性もゼロでないは分かったんですけど。

 どうもダニエルもただの魔族化とは異なる状態のようだし、現在のレイオットとカペルに辿り着くにはまだ色々と謎を解いて行かねばならないようです。

ストレイト・ジャケット2 ツミビトのキオク~THE ATTACHMENT~

[著者:榊一郎/イラスト:藤城陽/富士見ファンタジア文庫]

 今のレイオットは立場的に無所属か、あるいは中立であり、主にネリンの依頼で仕方なくも自由に動けていたりする。それが例えば、レイオットの活動圏内に多大な影響を及ぼすような『何らかの対立関係』が発生した場合、果たして彼はどんな動きを見せるだろうか?

 ……みたいな興味を抱いたのは、魔法士を憎悪している人物がいれば、逆に魔法士の能力に絶対の自信を持っているものがいるかも知れないし、魔法士を意図的に『魔族化』させて混乱を呼び起こそうとする者もいたりとか、今回の中で色々な思惑や感情の声が飛び交っているのを目の当たりにしたから。

 組織間対立や思想の対立など、まだ大規模な混乱に発展するかどうかも分かりませんが、何となく火種が着火を待っているような不穏さが感じられて仕方ありませんでした。