SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

ソードアート・オンライン プログレッシブ1

[著者:川原礫/イラスト:abec/電撃文庫]

 本編で(話の展開の都合上)一番最初に攻略しちゃった浮遊城アインクラッドを、もう一度最初の第一層から攻略していこう、と言う何とも無謀な……いや壮大で挑戦的なシリーズの模様。

 本編との細かい繋がりなんかは、もう既に忘れちゃってるしあまり意識もしていないので、新展開として初回から濃密な攻略エピソードを充分に堪能出来たかなあと言う手応えでした。

 初期仕様のツンツンなアスナはなかなか新鮮、なのに「いちゃいちゃしてやがるなあ」って雰囲気は不思議と最初の頃からまとっていて、キリトさんは最初から何ら変わらずキリトさんでした。

 今後も一階層ごとにこんな密度の濃い話に触れられるのかと思うとワクワクしてしまいますが、果たして最後まで描き切れるのかと……まあこの辺は深く考えない方がいいのかな。

ストレイト・ジャケット11 ニンゲンのアシタ ~THE DEATH BELL 2nd.HALF~

[著者:榊一郎/イラスト:藤城陽/富士見ファンタジア文庫]

 最終決戦後半戦のシリーズ最終巻。とりあえず「カ、カペちゃん!?」「ノ、ノーラさん!?」でした。この二人、専門分野的には登場人物中で最強を誇っていたんじゃないだろうか?

 万が一どちらかが欠けていたらトリスタン市と住民全員詰んでた所だったと思いますよ。いや、なかなか予想外ながらもしっくり来る役割で、もう最後なのに刺激的な展開を持って来るじゃないかと、気分が高揚してしまいました。

 あと、少数精鋭の『資格者』ども、予想していたよりも呆気なかった。いや、相対的にレイオットに与えられた複数の『切り札的なモノ』が強過ぎてしまった、と言うべきなのかな。

 資格者達は自由に魔法が使える優位性は圧倒的ながら、『生身の駆け引き』が絶望的に脆かった為に、レイオット達の意地に仕留められたと言った感じでした。

 結局、ロミリオとは一体何だったのか? 騒動が収束した後も、ロミリオの素性や動機などにまつわる話を詳しく知れなかった事だけは唯一の心残りだったかも知れません。

ストレイト・ジャケット10 ニンゲンのオワリ ~THE DEATH BELL 1st.HALF~

[著者:榊一郎/イラスト:藤城陽/富士見ファンタジア文庫]

 前の予告通りあと残り二冊、最終章突入の前半戦。既に戦力差も知略戦も絶望的なまでに人間側の劣勢なわけですが、これをレイオット達の意地でどう覆すかが見物になってゆくのかなあ、と言った感じです。

 しかし未だによく分かっていないのが、ロミリオら『資格者』達が事を起こし始めた『きっかけ』であったり『動機』であったりでしょうかね。多分、物語の最も深い位置で核心に触れるもののような予感もあったりして、そうそう容易くは口を開いてくれないみたいです。

 目的が帝都殲滅なのはおそらく間違いない所なんですけど……レイオットが奮起して奴らの“事情”の懐に切り込む事が出来た時、初めて真相が明かされる事になるのかも知れません。

ストレイト・ジャケットフラグメント3 テンリンのサガ ~THE GENIUS~

[著者:榊一郎/イラスト:藤城陽/富士見ファンタジア文庫]

 前回の短編集専属キャラことGGことギルバート・ギブスンが、そういや長編9巻で登場していたなあって事に触れ忘れていたのを思い出した。

 資格者になったGGは、どうやらロミリオよりもロン側の立場を選んだようで。まあ今回の話とは全く関係ないんですが、短編キャラが長編の話に影響を与える事もあるらしいと言う事で一応。

 今回の短編は、主にレイオット専属のモールド整備士ジャックがメインの立ち回りっぽく、フィリシスやレイオットを絡めた『天才』と『秀才』の差異を描く事が主なテーマだったのかなと思いました。

 この辺のエピソードも本編ではなかなか描く余裕もなさそうな所で、ジャックと姉弟子エヴァとの対比による微妙な関係性などは興味深い内容でした。二人の師匠のルイーゼが『天才』と『秀才』を語る部分も、それぞれの本質の良し悪しを知れたと言う意味で面白い手応えだったでしょうかね。

ストレイト・ジャケット9 セキガンのアクマ~THE FIEND~

[著者:榊一郎/イラスト:藤城陽/富士見ファンタジア文庫]

 水面下で得体の知れない何かがうごめいているようで、レイオットも何となく雰囲気は感じているようで、それはロミリオら『資格者』達やその後ろ盾の『組織』が深く絡んでいて、ただその実態は未だ謎に満ちている……と言った所が現状でしょうか。

 どう考えてもかつての『事変』とやらの再現を狙っているとしか思えないんですが、その辺の資格者達の意図も未だ不透明なんですよねえ。前々から匂わせチラつかせな様子が続いてるので、そろそろ表面化してもいいようなものですが、そうなったらいよいよ物語も最終局面に突入という感じになって行くのかも知れません。

 今回はそれらは一旦横に置かれつつの、アルフレッドのレイオットへの執着の件にケリをつけるエピソードでした。おぞましさ増し増しで、ただアルフレッドの本質を見通すノーラが感じ取った影響で、酷く虚しく物悲しく思えてなりませんでした。レイオットの手で最期を迎えられた事が、アルフレッドにとっては救いとなれたのでしょうかね。