[著者:三上延/イラスト:越島はぐ/メディアワークス文庫]
栞子さんの父・登と母・智恵子の若き日の過去エピソード。高校時代の智恵子さん、謎めいた雰囲気は変わらないながらさすがに今よりも微笑ましい可愛げがあったじゃないか、と。
もっとも、普段から他人と交流を持たない性質だったのが窺えたので、登と交流を重ねながら彼の事を特別視していたのは間違いなさそうな感じ。
智恵子が失踪するのを前提条件で結ばれていて、娘達を巻き込んでしまった事は悔いていましたけど、智恵子の失踪に対しては登が恨みつらみや後悔の念を抱かなかったのを知れてホッと出来たかなと。
普段の智恵子の得体の知れない雰囲気、今回は何となく半減模様な気もしました。過去の話が和らげてくれていたのかも? 篠川家三代の『本の虫』達が共感を覚えているように見えたのが印象的でした。