カンスト勇者の超魔教導 ~将来有望な魔王と姫を弟子にしてみた~

[著者:はむばね/イラスト:青乃純尾/HJ文庫]★★

 第11回HJ文庫大賞『銀賞』受賞作。

 一番の関心事は、異世界転移して三百年ちょっと
異世界生活を続けて、キリはそれでも尚本当に本心
から元の世界に戻りたいと思っているのかどうか。
 普段の態勢が余裕綽々で、常人には本心が見え難
い所もあって、あえてそう振舞っているようにも見
えるし、長年の経験から自然と身に付いた風にも見
えるし。とにかく、魔王の卵であるエイムを育成し
て、成熟を遂げた時点で倒して元の世界へ戻る……
この一連の流れを全う出来るのかどうか? 育成に
関しては本気度高くとも、エイムを倒す事に対する
抵抗はどうなのか。その日が訪れた時、キリの本心
が何処に在るのか。始まったばかりでまだまだ先も
見通せない段階ですが、大いに気になる所です。

新宿コネクティブ2

[著者:内堀優一/イラスト:ギンカ/HJ文庫]★★★

新宿コネクティブ 2 (HJ文庫)

新宿コネクティブ 2 (HJ文庫)

 新宿という都市で、佐蛹慶介という少年が所有し
ているコネクション。その圧倒的な強大さをまざま
ざと見せ付けられたような、そんな印象でした。
 人畜無害のいち男子高校生として、当たり前の様
にごく自然に振舞っているせいで、慶介の天性の才
能が物凄く気付き難いものになってしまってるんで
すよねえ。でも、なるべく波風立てないようにする
ならば、多分その方が好都合なのかも知れません。
 今回慶介が離脱した事によって、初めて新宿都市
での彼の存在感の重大さに気付かされました。恥ず
かしながら全然本質が見えていませんでした。もし
今後意図的に慶介を亡き者にしようとする何らかの
悪意が現れたならば……と思うとぞっとしますね。

既刊感想:

語り部は悪魔と本を編む

[著者:川添枯美/イラスト:himesuz/ファミ通文庫]★★

語り部は悪魔と本を編む (ファミ通文庫)

語り部は悪魔と本を編む (ファミ通文庫)

 内容の良し悪しは別として、これだけ速筆多作な
ら自分でライトノベル関連の応募に投稿すればいい
のに……って考え方は素人の浅知恵なのかも知れま
せんが。他人に読まれる事と適切な評価を受ける事
が、神田の下では全く機能していないように見えた
ので、雄一はよく何年もこんな状態で続けられたな
と思います。それでも出版編集者に伝があると言う
事は、優位に働くものなのでしょうか。この辺、フ
ィクションか否か判断し難くて悩ましい所でした。
 本当は、彼氏彼女の関係と作家編集者の関係の差
異を、恋愛模様に絡めてがっつり見せて欲しかった
のですが、ちょっと期待していたのとは違ってまし
た。雄一の“作家”としての部分が強めでしたね。

俺、「城」を育てる ~可愛いあの子は無敵の要塞になりたいようです~

[著者:富哉とみあ/イラスト:柴乃櫂人ファミ通文庫]★★

 低級冒険者が城の精霊(幼女)に助けられ何故か
懐かれて、一緒に城を育成してゆくようなお話。タ
イトルがどストレートに全てを物語っています。
 トーマが見初められたのは多分偶然の産物で、そ
もそもイェタが彼の何処に惹かれたのかイマイチよ
く分からなかったのですが、育成者としての有能さ
の匂いでも感じ取ったのでしょうかね。人間には計
り知れない何か特異な能力があるのだと思います。
 城の育成に関しては、先付けでも後付でもアイデ
ィア次第で幾らでも付与出来そうなので、可能性は
実に幅広い。そう言った意味では、イェタ(本体)
がどう育つのか非常にわくわくさせられます。次は
どんなレベルアップが見られるか、楽しみです。

東京ダンジョンマスター ~社畜勇者(28)は休めない~

[著者:三島千廣/イラスト:荻pote/ファミ通文庫]★

東京ダンジョンマスター ~社畜勇者(28)は休めない~ (ファミ通文庫)

東京ダンジョンマスター ~社畜勇者(28)は休めない~ (ファミ通文庫)

 会話のノリが軽いので一見明るく賑やかな雰囲気
なのですが、実際には相当容赦無くてエグい内容で
した。死傷者多数、秋葉原駅界隈は壊滅状態、おそ
らく大多数の一般人からすれば何が原因でこんな惨
状に陥っているのかも把握出来ないでいる。何事も
無かったかのように、記憶や破壊がリセットされる
ような都合の良い話も起こらず、全て現実として傷
跡が残されてしまう。決して軽くはないですよ。
 それをひたすら軽いノリでこなしてしまっている
のがどうにも受け入れ難くて。ゲームの中とか異世
界とかなら、現実離れで受け入れ易かったのかも知
れませんけど。もうちょっと気軽な救済措置でもあ
ったらなあ。現実世界でこれだとちときついです。