SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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ぎんなみ商店街の事件簿 ~Brother編~

[著者:井上真偽/小学館]

 この物語単体では、小規模な商店街のある町に住む四兄弟が、日常からはみ出したちょっとした事件の謎を追って解決して行くものに過ぎない。真価を発揮するのは、本書の対となる『Sister編』を読み切った後で全貌が明らかになった時。この『Brother編』と全く同じ事件が描かれなら、全く別の視点から事件を解決して行くもの、らしい。

 と言う事は、本来は一話ずつ交互に読み進めて行くのが最適な楽しみ方なのではないかなあ、と個人的には思ったのですが、片方を読み切らないと落ち着かない質なもんで結局片方から全部読んでしまいました。

 なるほど確かにどれも無事解決したように見えて、実際には各章に『未解決の謎』が残されたままになっている。この辺りは、おそらく『Sister編』を読み切れば真に物語が完成するのかなと思います。

 あと『SISTER編』の三姉妹とこの四兄弟とは、一切直接的な交流が描かれないのも特徴的と言うか、『全くの別視点からの謎解き』を意識しているようにも感じられました(学太の話の中だけには交流を示す様子もありましたけどね)。