SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

小説感想

時効犯

[著者:翔田寛/KADOKAWA]時効犯 船橋署刑事課・香山亮介シリーズ (角川文庫)作者:翔田 寛KADOKAWAAmazon 捜査が進むに連れて、被害者に対する卑劣な殺意の臭いが『複数人』から浮かび上がって来る。加えて時効が成立した未解決殺人事件も関連性が浮上して…

黙秘犯

[著者:翔田寛/KADOKAWA]黙秘犯 船橋署刑事課・香山亮介シリーズ (角川文庫)作者:翔田 寛KADOKAWAAmazon ひとつの事件の調査から次々に別の事件が発覚し、それらは最初の事件と無関係に見えながら、捜査が進む度に連鎖的に関連性を帯びて行き、やがて思い…

クスノキの女神

[著者:東野圭吾/実業之日本社]クスノキの女神作者:東野 圭吾実業之日本社Amazon 『クスノキの番人』の続編シリーズ第二作。ちなみに本書を読む前に『前作必読』です。 主人公・玲斗とクスノキとの出会いの経緯、伯母・千舟との関係性、不可思議現象の『…

朽ちないサクラ

[著者:柚月裕子/徳間書店]朽ちないサクラ (徳間文庫)作者:柚月裕子徳間書店Amazon 警察関係者でありながら、実質警察官ではなく事務職員に過ぎない泉が、果たして友人の死の真相に辿り着けたとして円満解決を手に入れられるのか? ここをどう描くのかが…

冤罪犯

[著者:翔田寛/KADOKAWA]冤罪犯 船橋署刑事課・香山亮介シリーズ (角川文庫)作者:翔田 寛KADOKAWAAmazon 現在捜査している女児誘拐殺人事件は、まるでそっくり再現されたかのような7年前の『模倣』なのか? その7年前の事件が掘り起こされたと共に浮か…

W県警の悲劇

[著者:葉真中顕/徳間書店]W県警の悲劇 (徳間文庫)作者:葉真中顕徳間書店Amazon 事件の中に仕掛けられている『意外な展開、意外な結末』がテーマの短編集。タイトル通り、どれも『W県警』内での出来事で、各エピソード間に様々な人間関係が意外な所で絡…

いけない

[著者:道尾秀介/文藝春秋]いけない (文春文庫)作者:道尾 秀介文藝春秋Amazon 各章に事件や謎が描かれ、各章の最後に提示されている『一枚の絵や画像』が、それまで描かれた謎を解く重大な鍵となっている、みたいな構成のお話。それぞれの章が関連し合い…

シャイロックの子供たち

[著者:池井戸潤/文藝春秋]シャイロックの子供たち作者:池井戸 潤文藝春秋Amazon メガバンク内での訳あり銀行員達が繰り広げる、ドロドロに歪み腐り切った人間関係と薄汚い出世欲に塗れた物語。 『もしも本当にあったら怖すぎる話』『知らなかった方が良…

コクーン

[著者:葉真中顕/光文社]コクーン (光文社文庫)作者:葉真中 顕光文社Amazon 『バタフライエフェクト』が主なテーマ。一羽の蝶の『ひと羽ばたき』が、巡り巡って地球の裏側で大きな影響を与えるようなもので。 そこをなぞる様に、とある人の言動が全く別の…

震える天秤

[著者:染井為人/KADOKAWA]震える天秤 (角川文庫)作者:染井 為人KADOKAWAAmazon 主人公の俊藤律、フリージャーナリストの立場にしては、本来彼とは無関係の事件にあまりに深入りし過ぎではないか。これなら『担当刑事が事件に違和感を覚えて捜査に踏み込…

総理にされた男

[著者:中山七里/NHK出版]総理にされた男作者:中山 七里NHK出版Amazon 日本の内閣総理大臣の立場から追った、日本の政治政策の話。正確には、総理と『そっくりさん』な男が事情によって無理矢理身代わり総理にさせられ、演技を続けながら政治政策をこなし…

絶叫

[著者:葉真中顕/光文社]絶叫 (光文社文庫)作者:葉真中 顕光文社Amazon 最初から最後まで、『被害者・鈴木陽子の物語』だったような気がします。刑事である奥貫綾乃が鈴木陽子の不審死の謎を追う展開を持ちながらも、やはり過去からの生涯をこと細かく描…

ハンチバック

[著者:市川沙央/文藝春秋]ハンチバック (文春e-book)作者:市川 沙央文藝春秋Amazon 自分で読んでみて、どうにも物語に込められた著者の意図を理解出来た気がしなかったので、『ハンチバック 解説』とか検索かけて頼る事にしました。 その結果、「読む人…

体育館の殺人

[著者:青崎有吾/東京創元社]体育館の殺人 〈裏染天馬〉シリーズ (創元推理文庫)作者:青崎 有吾東京創元社Amazon この例えが適切かどうか、言って伝わるかどうかは分からないんですが……読んでいて思い浮かんだのは『金田一少年の事件簿』的なやつで。 ク…

Blue

[著者:葉真中顕/光文社]Blue(ブルー) (光文社文庫)作者:葉真中 顕光文社Amazon 『平成の時代』を色濃く反映させた物語。特に音楽の歌詞や政治情勢などはリアルに盛り込まれていて、世代によってはこの世界観にドハマりしそうな雰囲気だったなあって印…

ロスト・ケア

[著者:葉真中顕/光文社]ロスト・ケア (光文社文庫)作者:葉真中 顕光文社Amazon 高齢化社会、在宅介護、介護業界の闇、高齢者の貧富格差、などなど。フィクションと注釈を入れられたとしても、どうしても現実社会のリアルと重なる部分で「これはノンフィ…

稲荷山誠造 明日は晴れか

[著者:香住泰/ディスカヴァー・トゥエンティワン]稲荷山誠造 明日は晴れか (本のサナギ賞受賞作)作者:香住泰ディスカヴァー・トゥエンティワンAmazon 絶縁状態の娘が行方不明と知らされたおじいちゃん、その言づてを持ってきた孫と一緒に手掛かり不足な…

逃亡刑事

[著者:中山七里/PHP研究所]逃亡刑事 (PHP文芸文庫)作者:中山 七里PHP研究所Amazon 同じ署内の刑事が別の部下の刑事を射殺した証拠を掴むも、真犯人に罠にはめられ冤罪の濡れ衣を着せられ逃亡を図って反撃の機をうかがう、と言う展開。 味方のはずの県警…

アマテラスの暗号

[著者:伊勢谷武/廣済堂出版]アマテラスの暗号 〈歴史ミステリー小説〉作者:伊勢谷 武Amazon 「興味が薄くて必要な知識も乏しいジャンルに触れたらどう感じるだろうか?」みたいな気持ちで手にとって読んみました。興味の有無はさておき、知識がない所で…

ぎんなみ商店街の事件簿 ~Sister編~

[著者:井上真偽/小学館]ぎんなみ商店街の事件簿 ~Sister編~作者:井上真偽小学館Amazon 前に読んだ『Brother編』の対となるお話で、商店街の串焼き屋の三姉妹が『Brother編』と同じ事件の謎を別の視点や立場から追って行く、と言う…

ぎんなみ商店街の事件簿 ~Brother編~

[著者:井上真偽/小学館]ぎんなみ商店街の事件簿 ~Brother編~作者:井上真偽小学館Amazon この物語単体では、小規模な商店街のある町に住む四兄弟が、日常からはみ出したちょっとした事件の謎を追って解決して行くものに過ぎない。真価を発揮する…

推しの殺人

[著者:遠藤かたる/宝島社]推しの殺人 (宝島社文庫)作者:遠藤かたる宝島社Amazon 被害者の事務所社長は相当のクズで、陰で所属アイドルへの脅迫に暴行、さらに薬物使用の疑いもある。素直に自首していれば情状酌量の余地もあっただろうに。たとえバレなか…

幸せジャンクション キャンピングカーが運んだ小さな奇跡

[著者:香住泰/ディスカヴァー・トゥエンティワン]幸せジャンクション ──キャンピングカーが運んだ小さな奇跡作者:香住泰ディスカヴァー・トゥエンティワンAmazon 前触れもなく理不尽な失職を喰らって、社長から餞別代りにキャンピングカーを一方的かつ強…

死にたがりの君に贈る物語

[著者:綾崎隼/ポプラ文庫]死にたがりの君に贈る物語 (ポプラ文庫 あ 17-1)作者:綾崎 隼ポプラ社Amazon 単行本では既読(と言うのを忘れていて文庫版を買っちゃって、読んでからも途中まで忘れていてようやく再読している事に気付く)。 以前読んだ時も強…

変な家2 ~11の間取り図~

[著者:雨穴/飛鳥新社]変な家2 ~11の間取り図~作者:雨穴飛鳥新社Amazon 『11の家の間取り』が11個の“パズルのピース”で、それらを繋ぎ合わせて完成した『一枚絵』が“繋がりの真相”と表現すれば、物語の全体図をイメージし易いのかも。 11の家の間取りが…

可燃物

[著者:米澤穂信/文藝春秋]可燃物 (文春e-book)作者:米澤 穂信文藝春秋Amazon 警察機関が事件の捜査を重ねて『これが真相に間違いない』と確定させようとする寸前で、常に冷静冷淡に違和感を嗅ぎつけ「待った」を突き付けて、誤った確定事項をことごとく…

アリアドネの声

[著者:井上真偽/幻冬舎]アリアドネの声 (幻冬舎単行本)作者:井上真偽幻冬舎Amazon ラストシーンに仕掛けられていた、とある“どんでん返し”の一幕、途中でピンと来た人ならもしかしたら気付けたのかなあ。私はその仕掛けられていた方向の“可能性”にはラス…

好きです、死んでください

[著者:中村あき/双葉社]好きです、死んでください作者:中村あき双葉社Amazon 『恋愛リアリティショー』×『密室殺人劇』の題目。無人島に集められた少数の演者とスタッフ達が、ネット配信の恋愛劇と疑似殺人劇の掛け合わせの物語を創作して行く中で、真の…

この銀盤を君と跳ぶ

[著者:綾崎隼/KADOKAWA]この銀盤を君と跳ぶ (角川書店単行本)作者:綾崎 隼KADOKAWAAmazon 二人の天才女子フィギュアスケーターのノンフィクション、と言い切ってしまったら言い過ぎかな? でも、個人的には過言ではないと断言出来るくらい、素晴らしくリ…

レーエンデ国物語

[著者:多崎礼/講談社]レーエンデ国物語作者:多崎礼講談社Amazon 『レーエンデ国の歴史に深く関わった人達の物語』なのでしょうかね。この終章を振り返ってみて、ひとりの主人公がシリーズを通して描かれ続けるのではない、と気付かされた時点で「これは…