1/2―デュアル― 死にすら値しない紅

[著者:森バジル/イラスト:カスカベアキラ角川スニーカー文庫]★★★

 第23回[秋]スニーカー大賞『優秀賞』受賞作。

 伴が「死にたい」と希望する言葉。その彼女の事
情をまだ知らない頃はただ単純に、この世界の倫理
に反する存在してはならない『偽生者』だから、そ
の中でも極めて特殊な“不老不死”だから、永遠に
生きる事からの解放を求めていたから……等々、そ
の辺りから漏れ出ているものだと思っていました。
 しかし、後になって友景から受けた想像を絶する
醜悪な仕打ちの数々を、伴自身の回想と言う形で語
られた時、彼女の口から漏れ出る「死にたい……」
の言葉が途轍もなく重く、そしてどうしようもない
切実さが込められたものへと変わっていました。
 ずっとしっくり来なかった限夏の偽生者への異様
な執着も、出生を知って充分に納得出来たかなと。