SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

推しの殺人

[著者:遠藤かたる/宝島社]

 被害者の事務所社長は相当のクズで、陰で所属アイドルへの脅迫に暴行、さらに薬物使用の疑いもある。素直に自首していれば情状酌量の余地もあっただろうに。たとえバレなかったとしても、殺人と共犯としての死体遺棄の事実の重荷は一生抱えていかなければならないだろうになあ……ってまあそれじゃ話は盛り上がらないか、とか思いながら追っていました。

 「本当はイズミが殺したんじゃなくて、真犯人は別にいるのでは……?」みたいな捻った仕掛けを疑ってたんですが、特にそんな事もなく。ストレートにアイドルグループメンバーの殺人と死体隠蔽をやらかした後にどう逃げ切るか、と言う展開の内容でした。

 正直結末の幕切れは語りが足りなくて不満だったんですけど、光と闇を携えたまま行く末を曖昧に濁して終わらせるやり方もありと言えばありなのかなあと。一方でバレるかバレないかの逃げ切りの中盤展開は、テンポ良くハラハラさせられる緊張感も増し増しで非常に読み応えありな面白さでした。