月とライカと吸血姫

［著者：牧野圭祐／イラスト：かれい／ガガガ文庫］★★★

月とライカと吸血姫 (ガガガ文庫)

　技術を共有し合って確実な完成に近付けたら簡単
な話なのになあ、と。情勢を目の当たりにしたら天
地が引っ繰り返っても実現しなさそうな事を望んで
しまったのは、レフとイリナの擽ったい関係性にぐ
いぐい惹き込まれて行ったからなのでしょうかね。
　最後になって史実がベースになっていると知って、
熾烈でえげつない技術競争があったからこそ、この
分野の発展へと繋がって行ったのだろうかと、辿っ
た物語を思い返して感慨深く染み込んで来ました。
　まあ、この辺りの感想はレフとイリナの軌跡とは
横道に逸れた事であって、二人の対しての思いはも
っと分かり易いものなんですけどね。後の事は極力
考えず、ただただ「良かった」。これに尽きます。

友人キャラは大変ですか？

［著者：伊達康／イラスト：紅緒／ガガガ文庫］★★

友人キャラは大変ですか? (ガガガ文庫)

　おいこら小林一郎！　クラスチェンジでキャラの
扱いが昇格したのに、何で致命的ダメージ受けたか
の様な面してやがる！　……と、妬ましく思ってし
まうものでしょう？　でも、小林一郎は超優遇処置
に拒絶反応が出て受け入れられないそうです。
　実は羨ましい境遇の一郎に適度にツッコミ入れつ
つ、内心ニヤニヤ笑みを浮かべていました。何にし
ても小林一郎の存在自体がネタ塗れなんですけど、
途中で望んでいない方向へキャラ昇格してからが本
当に面白過ぎでした。何でラスボスとか脇役の一人
だとか思っちゃうんでしょう。頑なにその単語を発
しませんでしたが、紛れもなく“主人公”でしょう
よ。投げっ放しをどう拾って行くか楽しみですね。