SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

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[著者:葉真中顕/光文社]

 『平成の時代』を色濃く反映させた物語。特に音楽の歌詞や政治情勢などはリアルに盛り込まれていて、世代によってはこの世界観にドハマりしそうな雰囲気だったなあって印象でした。

 物語の内容は、家族を惨殺した犯人が自殺して幕を閉じるはずだった事件の背後に、正体不明の『真犯人』の影が浮上した事によって、その存在を追跡しゆくと言った展開。平成時代の幕が閉じるまで事件を追い続けた、刑事であるひとりの男の『執念』が実を結んだ、と言った感じだったでしょうかね。

 一見関係なさそうな人物や証言の断片が集まり、複雑な経緯を辿って真相に至るまでの構成は、長丁場でも引き込まれ続ける魅力があって見事なものでした。

 “真犯人の幕切れ”について。個人的にはこれで良かったかなと納得出来ました。登場人物達は色々複雑な思いでしょうけど、何となく真犯人自身がこの結末を望んでいたように思えてしまったので。