SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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DクラッカーズV 追憶―refrain―

[著者:あざの耕平/イラスト:村崎久都/富士見ファンタジア文庫]★★

 「す、好きだっ!」と、僅か0.5秒の返答。梓が待ってたこの言葉を告げるのにどんだけグズグズしてたんだか、って話。著者のあざのさん曰く「この物語の男どもはことどとくヘタレ」なんだからまあ仕方ない、か。

 全て終ったと思っていた事は実はまだ終っておらず、手に入れた平穏は嵐の前の静けさに過ぎず。これまでと決定的に違うのは、カプセルと悪魔召喚の直接的な暴力によって侵食されるのではなく、知らぬ間に気付かぬ内にごくごく自然に“何か”を失わせてしまう点。

 景の過去の記憶と、彼が生み出した『女王』との接点と、彼女が告げる王国建国について。外枠は今回でほぼ出揃った感触だけど、細部はもうちょっと見えていない箇所もある(この辺の手応えは富士ミス版と一緒)。

 あとは最後の景と梓の会話。やっぱり何度読んでも凄く良いね。同時にここは大切なものを失う別れの時でもあるんだけど、シリーズ中屈指の名シーンだよな〜。

既刊感想:『Dクラッカーズ』感想一覧